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龍戦記〜龍の力を受けし者〜
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龍戦記〜龍の力を受けし者〜 35


店主の姿が少しずつ薄くなっていき、消えた。レオンはそれを見ると、静かに笑う。

「バッヂに込められた死者の魔法か…、結局報酬はこのバッヂだけだな。まぁ請けたからにはきちんと姫様助けますよ」
レオンは紙をポケットに、バッヂを胸につけるとその酒場を一人で出て行った。


その日の満月はいつになく大きく、きれいに見えた。デッドカントリーの宮廷の夜空も変らない。宮廷内は銃を持った兵士達が巡回している。大きな庭の真ん中には噴水があり、そこに黒いスーツを着た男が一人立っていた。

「来たか…」
スーツの男は歩いて前へ進む、その視線の先にいるのはレオンだった。

「ここの王様はよっぽど嫌われているようだな、毎日毎日、暗殺者がやってくる……私の名は“フェブルウス”、先に地獄に行って私の名をひろめといてくれ」
「あんたにも契約があるんだろうけど、俺にも大事な“約束”があってね。行くぞ!!」
レオンが剣を抜き地面を駆ける。フェブルウスは足をひろげて攻撃に備えた。彼の目にはレオンの疾走する姿が狼のそれと重なっていた。

「猛き狼よ、私にその力見せてくれ」
フェブルウスは噴水に置いてあった刀を手に握り、それを構えた。
 地面で踏み込む音がすると、レオンの姿がフェブルウスの下に現われた。レオンはそのまま袈裟に斬り上げる。

「ふん!!」
フェブルウスはゆっくり一歩下がりながら、レオンの剣を刀で受け流しす。彼はそのまま一回転するとガラ空きになったレオンの脇にその刃を向ける。

「呆気ないね」
フェブルウスの刀がレオンの命を断とうとした時、レオンは右手をフェブルウスに向けた。

「はッ!!」
レオンの右手から黒い球体が現われ、それがフェブルウスの腹部に直撃する。フェブルウスは吹き飛ばされると、空中で一回転し地面に着地した。

「ゴホッ」

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