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龍戦記〜龍の力を受けし者〜
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龍戦記〜龍の力を受けし者〜 34

「救出?“さらう”の間違えだろ?」
レオンの冷たい目つきに、店主は慌てて自らを弁明しようとする。
「それは違う!!我々は姫の護衛の者だ」
「護衛?」
「…政略結婚をさせられた姫様の護衛だ」
「ん?護衛の身分にも関わらず姫様に恋をしたから、俺にそれを助けろと?」
「侮辱するつもりか!!」
「じゃあ聞かせてもらうけど…そのお姫様を救出したとして、あんたらは彼女をどうしようって言うんだ?」
「それは…」
「先のない事をやっても、ただ誘拐して捕まって殺されるだけだ。自分の国の王には進言したのか?」
レオンが説教じみた話をし始めると、店主は俯いて小さな声で呟く。

「故郷はもうない…」
「西国の一つだったとか?」
「そうだ。この前第三勢力に消される時までは、確かに存在した」
「ならなおさら姫をさらう意味が─」
「第三勢力がデッドカントリーと繋がっている、そして我々の国は消された。姫の命が危ない…」
「罪人とデッドカントリーが繋がっているね…どこでそんな情報を?」
「西国が消されたはずなのに私がここにいる理由。何だと思う?」
「そういう質問を質問で返すのやめてくれ、帰るぞ」
レオンは自分が試されてる気がして嫌そうな顔をする。店主は彼に掌を向けて落ち着かせようと動作した。

「悪かった、話を聞いてくれ。私は護衛兼、西国の諜報部員をしていた。だから裏の情報も知っている、この国の人体実験やここで作られた試作グルーが第三勢力に送られている事も」
「人体実験、試作グルーね…。会う前にいい事したら褒めてくれるかな、カミル…」
「カミル?」
「なんでもない、それよりその仕事うける事にした。場所を教えてくれ」
「ホントか!?ならこれを持っていってくれ」
店主は一枚の紙と狼のバッヂを手渡した。店主の顔が安らいで見える。

「そのバッヂは我が国の者である証しだ、ありがとう…娘を頼んだ」

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