龍戦記〜龍の力を受けし者〜 33
「西国が北の第三勢力に消されたばかりというのに、東国は内輪もめか?」
「お客さん、代金」
小さな売店で立ち読みしていたレオンは、店主に代金を要求された。レオンはポケットからコインを取り出すと、店主にそれを見せる。
「お客さん、これじゃ新聞どころか今、口ん中にあるパンも買えないよ」
「旅をしていて持ち合わせがないんだ、これでなんとかならないか?」
「君、見たところ剣士みたいだね…」
「そうだが、何か?」
「仕事を頼まれてくれるかね?勿論報酬は出す」
「断われば?」
「この国はそこらじゅうに兵士がいるんだ、助けを求めて蜂の巣にしてもらうよ」
「…仕事内容は?」
「今日の夜、またここに来てくれ。ここで正式に依頼はできん」
「分かった」
「じゃあ頼むよ」
数刻後。辺りは暗くなり、空には星がちりばめられていた。店主は後片付けを終えると、一人呟いた。
「確かに夜会う約束はしたが…、あれからずっと店の近くで待っているとは─」
「話はまだか?」
「ヒィ!!脅かすなよ…、こっちだついてこい」
店主はランプに火をつけると歩きだした。レオンはその後ろについていく。
「ここだ」
店主は小さな酒場にレオンを案内した。中に入ると酔っ払いが盛り上がっていて、熱気がすごかった。店主は酒場のおやじに奥の個室を勧められると、レオンと一緒に入っていった。
「で、仕事の内容とは?」
「君は無駄がないねぇ…、仕事というのは“姫様の救出”だ」