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龍戦記〜龍の力を受けし者〜
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龍戦記〜龍の力を受けし者〜 28

ラズィの質問とほぼ同時にスコットの提案が行われた。隊長は顎を掴んで少し考えると、スコットに魔法を使うように命じる。スコットは頷いた。

「二人共、少し離れててください。いきますよ?ハッ!!」
スコットの掛け声と同時に、要塞や戦闘ヘリのライトが一斉に割れた。ライトを失った戦闘ヘリは、回転しながら墜落して炎を上げたが、その炎は一瞬にして消えた。

「ヒュー、スコットやるね〜。さすが風の魔法使い、スケールが違う」
「スコット、よくやった。行くぞ」
真っ暗になったコンクリートの道を、戦闘ヘリの残骸を避けながら三人は突き進んで行く。そして建物の前に着くと、隊長の命令で立ち止まった。

「どうしたんすか?隊長」
「ラズィ、スコット、戦闘態勢だ。敵がいる」
「ラズィ、周りをよく見てみろ。グルーの群れに囲まれている」
「マジか!?」
ラズィが辺りを見回すと、黒い化け物達が赤い目を光らせてこちらを見ていた。化け物達はじりじりと距離を縮めて来る。

「人間の要塞にまでグルー出現すか?どこから来やがるんだ…」
「これだけの量…、マスターグルーが近くにいるな。隊長!!」
「この状況は当然の事だ、グルーは“ここで”作られているのだからな」
隊長の発言にスコットとラズィが沈黙する。隊長はそんな二人を横目で見ながら銃に弾を装填し始めた。

「デッドカントリーへの粛清の理由、それがコイツらだ。本部で貰った新型銃が対グルー専用であるのも、これで納得できたかな?」
「グルーの生産工場…、それは見逃せませんね」
「ココ破壊すれば、英雄っすね。あー、燃えてきた!!」
「その為にも敵の生物兵器の資料が必要となる、それがなければ我等はテロリストで処刑される」
スコットとラズィが頷くと、隊長は頷き銃を撃った。隊長の放った弾はグルーの群れに入って大爆発を引き起こす。砕かれたコンクリートが吹き飛び、隊長の目の前まで飛んでくるが、ラズィが間に立ちバリアを張った。ラズィの作り出した緑の美しい壁が、三人を爆風から守る。
 爆風が落ち着き、生き残ったグルー達が三人の工作員を探すが、その姿は無くなっていた。建物の壁に大きな穴を残して…


バリンッ、天井の監視カメラが床に叩きつけられた。ラズィがそれを踏みつける。
「うまく撒けたっすね」

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