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龍戦記〜龍の力を受けし者〜
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龍戦記〜龍の力を受けし者〜 21



町が外との交易をしていなかった理由。それは周りを囲む不毛の山にあった。町や森の周りを囲む断崖絶壁の山々が、外からの侵入を許さない。
しかし、それ故に外との交流を行うには、谷間にあるただ一つの道“ライフロード”を通らなくてはいけなかった。そこに今、一台のヴァイクが停まっている。

「距離は300位か…」
ヴァイクに跨がるのはオルクスだった。彼は望遠鏡を除きながらそう呟く。
300m先に見えるのは黒き騎士団。茶色の雲が空を覆い不気味な雰囲気が増していた。敵が徐々に近付いてくる、だがオルクスは動こうとしない。
オルクスが待っていると、黒き騎士達はライフロードに侵入してきた。それでもオルクスは二本の剣を抜くだけだった。
黒き騎士達が土煙をあげながら迫ってくる。オルクスは剣を構えたまま動かない。走ってくる黒き騎士が遂に剣を振り上げた。
 黒き騎士達が次々とオルクスを横切っていく。オルクスの二本の剣は動いていたが、騎士達は一人も落馬せずにライフロードを走っていた。数m先を進むまでは…
 ある一定の場所まで行くと、黒い馬達は黒き煙りを上げて消えて行く。ほおりだされた騎士達は地面に倒れると、誰一人として起き上がらなかった。
 暫くすると騎士達も黒き煙りを上げて消えていったが、ただ一人だけ煙りを上げない騎士がいた。オルクスは俯せになっているその騎士に近付くと、腹に足をかけひっくり返した。

「後続の部隊は?お前は人間か?命は欲しいか?」
オルクスがそう言うとその騎士は頷いた。黒い鎧に刻まれた傷は、オルクスの斬撃によるものだろう。そこから赤い血が流れ出している。

「後続部隊は?」
「本格的な襲撃は明日だ、今日はない…」
オルクスは傷ついた騎士をヴァイクに乗せると、町へ引き返して行く。オルクスの背中で騎士は怪しい笑みを浮かべていた。
 オルクスのヴァイクが町の入口に近づくと、そこには剣を持っている男が一人立っていた。男が手を上げるとオルクスはすれ違い様に、その手を叩いていった。


「いてぇな…少しは手加減しろよなアイツ」
ラスティンはオルクスと手を叩いて挨拶をすると、ライフロードを進んでいく。谷間にあるその細い道は、大軍をまとめて相手するには都合がいい場所だった。

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