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龍戦記〜龍の力を受けし者〜
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龍戦記〜龍の力を受けし者〜 20

ラスティンはフェブルウスに背を向けると一階に降りていった。窓の外に楽しそうなカーミラの姿はもうない。フェブルウスは町長に休みをもらうと、館を静かに出て行った…


「そんでいつ町を脱出するんだ?」
「明日にでも。町の人々に準備をするよう部下に指示しました、歴史のある町です。出たがらない者もいるかと思いますが、置いていきます」
「置いて行くのかよ!?」
「南下と言っても、我々の町を集中して攻撃しにくる訳では無いのですが、何があるか分からない状況です。少数の人々の為に全滅にさせる訳にはいきません」
「そうか…」

次の日の朝。町長は代表者を集め会議をひらいた、内容は“残るか・逃げるか”。町長の想像では“逃げる”が多数で可決されるはずだった…

「余程愛着があるようで…」
結果は満場一致で“残る”になっていた。それに加えて、逃げたい者は逃げていいという当然の権利も与えられる事となった。
会議が終わり皆が去って行くと、町長は一人頭を抱えた。町長の頭の中は何故逃げないかではなく、黒き騎士団をどう迎え撃つかで一杯だった。

「─という訳だ、ラスティン、オルクス。協力してくれるね?」
この日はラスティン達の部屋に町長がやって来ていた。オルクスはベッドの上で寝息をたてている。

「黒き騎士団を相手に戦うねえ…仮に町への侵攻を止められても、この町は孤立する事になるんじゃねえか?」
「元々外の国と交易がなかったから、町の中だけで十分物資を揃えるノウハウがある」
「う〜ん、確かにな…オルクスはどう─」
「任せろ、やってやる」
「だそうだ、一肌脱ぐとしますか」
「ありがとう、君達がいると心強いよ。今日の夜早速作戦を始める、私の館まで来てくれ、頼んだよ?」
町長は笑顔で彼等の部屋を出て行った。オルクスは目を擦り着替えると、何も言わずに一人カフェを出て行った。

「はは〜ん、準備運動ってやつね」
ラスティンは目を細めて笑うと一階に降りて、カウンター席でコーヒーと新聞を頼んだ。

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