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龍戦記〜龍の力を受けし者〜
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龍戦記〜龍の力を受けし者〜 13

「ふん、“腐った巨人”か…、我の手を煩わせる必要もあるまい」
サーペントは片手を槍の形に変形させると、それをレオンの胸に突き刺した。
刺されたにも関わらず出血はない、その代わりにレオンの鼓動は激しくなっていった。

「我の血を貸してやる、5分で片付けろ…“契約”は契約だ、また呼べ」
「ゲホッゲホッ…サンキュ」
サーペントは砂の様になって風とともに消えた。残されたレオンは、胸を押さえてもがき苦しむ。
 彼の体中から黒い煙りが立ち上ぼる、その煙りがおさまると、レオンの姿は全く別の者へと変わっていた。
 それは黒い甲冑の悪魔だった。背中に漆黒の翼がはえ、顔は仮面により目の部分しか見えていない。
 漆黒の悪魔はその翼で宙に浮くと、マスターグルーの腕に剣を刺し、そのまま肩まで斬り裂いていった。
 ダメージが大きかったのか反り返るマスターグルー。腕の傷口から粘液だらけのグルー達が地面に落下していき、煙りになっていった。
 マスターグルーの狂気がかった目が、レオンを睨みつける。巨人はもう片方の腕を大きく振り上げ、レオンめがけて振り落とした。
 巨人の腕は山を砕き、空にかかった雲を吹き飛ばした。強風に山が叫ぶ中、レオンは腕を組みマスターグルーを空より見下していた。
 空を見上げる巨人。その先には赤い月を背にしたレオンがいた。
 レオンは顔の前で剣を縦に構えると、物凄い勢いで巨人に飛んできた。レオンの剣が振り上げられたかと思うと、赤い月が真っ二つに割れた。巨人は力が入らない、割れた月を見ながらそのまま地面に倒れていった。
 レオンは頭から真っ二つになった巨人を空から眺めていた。巨人は月を見ながら赤い涙を流し、片腕をのばして息絶えた。
 レオンが後ろを振り返ると、巨人の見ていたであろう白い満月がくっきりと見える。何故だかレオンにはその月が悲しいものに見えた。

「!!」
レオンの胸が急に締めつけられた。体中から黒い煙りが上がり意識が薄れていく。
 空に浮かびし漆黒の悪魔は地面へと落ちていく。甲冑ははがれ、砂になって消える。レオンは黒い煙りをまといながら落ちていた。

「何だ、これで終わりか?俺の人生…」

ザプンッ

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