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武竜戦記
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武竜戦記 40

デュランがマスターグルーの腕にトドメの炎を放とうとした時、爆発したはずのグルーの右の拳が彼に痛恨の一撃をくらわせた。
その拳はデュランの上に重くのしかかり、地面はひび割れていった。しばらくするとマスターグルーはゆっくりと腕を上げる、拳の作ったクレーターにはフラフラになりながらも立ち上がるデュランの姿があった。

「強いのは分かったが、お前じゃ俺は倒せねえよ」
デュランは鉄塊を振って挑発する。しかしその間にもマスターグルーは自己再生を続け、姿は鬼のようなそれに変わっていった。
マスターグルーが掌で地面を触ると、触れた部分が光を放ち、そこから大きな岩の柱が上がっていった。するとそれはマスターグルーの手に握られ巨大な武器となった。
マスターグルーはそれを振り上げると、もの凄い勢いでデュランに振り下ろす。ズドンと音をたて周囲は砂埃で全く視界が効かない状態になった。その中でデュランは挑発したままの姿勢で立っていた。

「助けに来てやったぞ、ガキ」
デュランが声のする方を見ると、十六夜が赤い刀を振り下ろした体勢でそこにいた。彼の目の前には綺麗に切り落とされた岩が横たわっている。

「ソルトは右、バジルは左から挟撃せよ!!」
「おうよ!!」
「はっ!!」
デュランが十六夜の背中を見ていると、後方から筋肉質のバジルと剣を握ったソルトが飛び出した。彼らは片手に魔石を握ぎり、そのままマスターグルーに突っ込んでいく。
大きな爆音と閃光とともに砂埃は一瞬で吹き飛んだ。晴れた視界の先、腹に穴の空いたマスターグルーが苦しみながら地面に倒れていった。

「魔石二つでこのダメージか…、吼えろ竜翔丸!!!」
十六夜の赤い竜刀は赤い光を放つ。片手に刀、片手に魔石を持ち十六夜はマスターグルーに斬りかかった。致命傷をおったマスターグルーは十六夜の斬撃に大きなダメージを受けていく。最後には弱りきったマスターグルーの腹の中に再び魔石を投げ込んだ。

「ソルト!!」
十六夜がそう叫ぶと、どこからともなくソルトが現われ、十六夜を抱えるといつの間にかデュランの横にいた。

「滅!!」
十六夜の掛け声と同時にマスターグルーの体が爆発を起こした。弾けとんだその破片は紫の炎をまとい、やがて消滅した。

「俺の名は十六夜、あっちのゴッツイのがバジル、剣回してるのがソルトだ。よろしくな、同胞」
「同胞?」
「見た所…、炎の使い手だろ?俺も炎を使える、意外と炎の使い手は少ないんだ。だから同胞でいいだろ?」

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