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Step up!
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Step up! 5

「では、石の説明に移ろうかの?」
「はい!」
二人は真剣な表情で、ジゼルを見つめる。ジゼルは、カレンの方を向いた。
「カレンよ、赤いルビーは炎魔法を得意とする。弱い炎なら、魔力をほとんど消費しないで出せる。他のいくらかの魔法もできないことはないがのう。魔力は使うが。」
ジゼルはセージの方に向き直った。
「セージ、エメラルドの得意分野は風だ。微風、突風、台風…この杖から生まれる。微風なら魔力はつかわん。もちろん、他の魔法もできる。」
二人は頷く。      「ここで覚えておいて欲しい事は風は炎を補助する事だ。また、勉強をサボった者がよく間違える事だが、魔法の属性間に強弱の関係は無い。例えば炎が水に弱い、なんて事は無い」  二人は顔を見合わせた。 「嘘お…」       「勘違いするな。炎の魔法に水をぶつければ大抵消える。でも火が消える原因は水だけじゃないだろう?」「あ…」        「要は使い方の問題だ。薄い水の幕なら一点集中の火炎で破れる。まあ、これは高等部の授業でもやかましく言われるだろうがな」
「中等部の授業って…」
「子供騙しだったのか。」
「そんな感じじゃ。しっかり勉強するのだぞ、マジカルツイン。」
「もちろんです!ジゼルさん、ありがとうございます!」
勢いよく挨拶し、二人はミレーの店へと向かった。
「こんにちは!」
「あら、マジカルツイン。君達のブレス、今出来上がったわよ。ほら。」
ミレーのノートに描かれたデザインよりも本物は美しかった。
艶のある魔物の革に、宝石のごとく鱗が光りながらラインを描き、鋭さがある牙が存在感を醸し出していた。
「着けてみて。」
「…はい!」
ドキドキしながら牙の留め具を外し、腕にブレスを巻き付ける。
「わぁ…!!」
「なんだろう、これ…。」
二人はそのブレスに、並々ならぬ生命力を感じた。
「すごいでしょう、生命力が。死んでも魔物は魔物。魔物の精は生きているの。」
ゴクリ…。思わず唾を飲み込む。ミレーは真顔で言う。
「宿っている魔物が、あなたたちの状況に合わせて、魔力の制御に多少の緩急をつけるの。うまく使いこなしてね。」
店内に重い空気が漂う。
「…はい。ありがとうございます…、ミレーさん。これ、代金です…。」

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