PiPi's World 投稿小説

THE ENDLESS
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 5
 7
の最後へ

THE ENDLESS 7

魔犬狩りは簡単だった。桃樹が低級閃光魔法で怯ませ、ジークが斬り付ける、ということの繰り返しで間に合ったので、敵が少数の場合は回復は必要なかった。しかし…
「うわっ」
赤紫と緑の毒々しい色彩の魔犬がジークに噛み付き、毒に冒されてしまった。なんとか力を振り敵を仕留めたが、毒が体に回りかなり苦しそうだ。
「桃樹…毒の治療を頼む…」
「ぼ、僕まだ毒の治療はできないんだ……あっあれは!」
さらに運の悪い事に、二十数匹の魔犬の群れが、遠巻きにこちらの様子を伺っていた。
「どうする?回復しながら戦うか、それとも逃げるか」
「ここは…逃げた方が良さそう。でもどうやって?」 そう言っている間にも魔犬の群れはじりじりと輪を狭めてくる。
「とりあえず回復するから、閃光で道を切り開いてくれ」
ジークは薬草を口に含むと、立ち上がり駆け出した。慌てて後を追う桃樹。  「魔力は惜しむなよ」  火事場の馬鹿力と言おうか、桃樹の必死の攻撃のお陰で、なんとかギルドシティまで辿り着けた。    「それにしても広かったな、俺たち以外のプレイヤー殆ど見なかったぞ」
「うん…あ!ミツワさんだ!」
見ると向こうもこちらに気付いた…と思った瞬間、いきなり目の前に現れた。
「瞬間移動術…」
桃樹は驚いて目を見開いている。
「すみませんミツワさん。失敗してしまいました」
「失敗?今回のノルマは魔犬二十匹の撃破だ。成功だぞ。まあ、次からは毒消しを持って行くんだな」
そう言うとミツワは指を鳴らした。するとジークは急に体が楽になった。
「すごい…指を鳴らすだけで治療魔法使っちゃった」桃樹はただ驚くばかりだ。
「今日はもうログアウトしとけ」
(毒消してもらったのは嬉しいけど、なんか冷たいな…)
しかし、ジークはログアウトするとき、ミツワが哀愁を含んだ目をするのを確かに見た。
 
 
 それから一週間ほど後の事。ジークはギルドの建物内で、白髪の老人を見つけた。
「お爺さん誰?」
「なっお爺さんだと!?俺はまだ六十だっ!せめておじさんと呼べ!」
…いや六十は爺さんだろ
「ごめんなさい。おじさんは誰ですか?」
まだ機嫌は悪い様だが答えてくれた。
「俺はカフカ。このギルドの一員なんだが、女房がうるさいんで一日半時間しか来れないんだ」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す