PiPi's World 投稿小説

Gear〜鍵を成す者〜
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 16
 18
の最後へ

Gear〜鍵を成す者〜 18

「静かな森だ……なあ、こんな場所に盗賊なんて出てくるのか?」
若い男が荷台で寝ながらそういった。
「用心棒の金は払ってんだ、文句を言うんじゃない…」太い声がそれに答えた。
「ま、盗賊が現れたら呼んでくれや」
「当然だ」
虚しい会話が終わった。
それからしばらくして盗賊が現れたが、返り討ちにして、また沈黙が若い男を包んだ。
「なあおっさん、この荷物は一体何なんだい?」
「………」
「おっさん!!」
若い男の顔がぷるぷる震えていた。
太った商人が舌打ちをして答える。
「武器だ、それもとんでもなく強力なやつだ」
「武器ね……銃器、なわけないか」
若い男は空を見上げた。
商人の表情が一瞬引きつった。そして黙ったまま馬を進める。
「錬金術の使える盗賊がこないことを祈らないとな」
若い男はつぶやいた。
「錬金術を使える奴になんて人生のうちに会えるか会えないかの確率だ、お前がそんな心配する必要はない、それよりしかっり馬車を守ってくれよ、品物が傷ついちまう」
商人は冷ややかな目で男を見た。
「分かってる、これでも“元プレシア”の軍人だ仕事はするぜ」
「脱走兵のくせしてえらそうに……」
商人の冷ややかな視線は変わらなかった。
がさごそ
草むらが不自然に動いた。
「盗賊のおでましか!?」
男は声を弾ませ荷台を飛び降りた。
「危害は加えない、黙ってその馬車を降りてください」
出てきたのは背の低い黒髪の人物と、飼いならされているであろうテアだった。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す