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Gear〜鍵を成す者〜
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Gear〜鍵を成す者〜 17

そして淋しそうな声でつぶやいた。「……トマはきっと生きてる…」


「だから言っているでしょ、今は隣国と戦争中で、特別な人以外は入国できないんですって」番兵は煙たそうな顔で、手をひらひらと動かしている。
「そこをなんとか」小柄な人物が、手を合わせて頭を深々と下げた。
「……これ以上仕事の邪魔をするなら牢獄にぶち込むぞ!!」番兵は急に顔を真っ赤にして、そう言った。
「……」
小柄な人物は無言でその場をたち去った。そして、背中からは大きな溜め息が聞こえた。

「どうだった?リオ」
茂みの中から一匹のテアが声をかけた。リオと呼ばれた小柄な人物は、首を振って近付いてきた。
「全然ダメ、赤兎の言う通り番兵は頭が固いねえ、“術”使っちゃう?」
「駄目」
「冗談だよ、赤兎」
「冗談には聞こえなかったが」
赤兎は目を細めた。そして二人はしばらく沈黙した。
「“特別な人”だけは入れるらしい、僕を追い越して門をくぐったのは……“武器商人”だったかな」
リオは指をならしてそう言った。
「仕方ない、やるか……」
「それしかない」
リオは声を弾ませた。


  ──オレの名はカロン。とある国の軍隊を脱走、名誉回復の為、城に侵入した錬金術師を捕まえようと試みた。
「仕方ない、やるか……」
「それしかない」
リオは声を弾ませた。


森の中の一本道を一台の馬車がうるさい音をたてながら、ゆっくりと進んでいた。

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