Gear〜鍵を成す者〜 38
崩れゆく穴の中を二人は走っていた。ベルーナがシオンの前を走る。
「シオン、リオはいいんですか?」
「彼女はもう帰りません、この穴の崩壊がそれを意味します」
「……、命に代えてもシオンはマーリンの元へ帰します」
穴は崩れゆき、それは静かに塞がった。空の色が青から灰色に変わり、海の水が一瞬で干上がった。
「もうすぐ帰れる…」
干上がった海の前で老人が涙を流していた。そして、老人は崩れるように倒れ、二度と目を開ける事はなかった。
干上がった海は闇に消え、少しずつそこに風景があらわれてきた。森や草原、山、消えた海の代わりに様々な景色がひろがる。
そしてカルガルダと呼ばれる森に、一つの鍵が天より落ちてきた。それを拾った者がそれに名を付けた。
「Gear…」と。
彼は災いの原因と恐れ、やがてそれを神殿に封印するのだった。
〜END〜