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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜
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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜 10

 ──老人の居場所は資料で分かった、しかし問題はそこが竜に囲まれた要塞という事だ…
「ここにある書物は自由に見てくれて構わんが、読み終ったら元の位置に戻すように…」
そう一言いい残すと、館の主人はその部屋を出ていった。
ルセリウスは走って棚に向かい、端から端まで本の側面を見ていく、しかし求めている本が見付からない。
「ない…」肩を落とし椅子に座るルセリウス。
その時、精霊が呟いた。「机の上のあれ、何だろうな?」
「ん?」ルセリウスは精霊の言葉に返事をせず、そのまま机の上の本を手にとると、表紙の字を読む。
「“ドラゴン”ね…悪くない」
…次の日。
「悪くなかった」そう言ってルセリウスは本を閉じる。
館の主人にあいさつをして、出口の扉を開ける。
ルセリウスは朝日を浴びた、彼は顔にあたる光を腕で防ぐ。
「パレイオスか…フランベ行くぞ」笑顔で話しかけたが、眠っていたのか返事はなかった。


 ――戦場を駆ける漆黒の戦士と燃えさかる炎。
「本に助けられたな」
「本当だ」
 ――黒く大きなドラゴンが大きな棍棒を振りかざして、門を守っている。筋肉が異常に発達していてる代わりに、翼が退化して空を飛べないようだ。
「怯むな!突撃ー!!」
槍兵たちがそのドラゴンに向け走っていく、そして棍棒が振られた瞬間、兵士たちが吹き飛んでいった、門の前ではそれが繰り返されていた。
「誰か奴の首をとれる者はおらんのか」兵士長が後方から大声を出すが、それに答える者はいない。
「役立たずどもめ…」兵士長は呟き灰色の空を見上げ、目を閉じた。
「どうしたものかな」腕を組み、兵士長は何やら考え始める。
ゴ―――、低い音が空から地面に落ちていき、そして止まる。ドラゴンの叫び声が聞こえ、同時に何かが地面に倒れる音がした。
「何事だ」兵士長が目を開く。
門の前にいたはずの黒いドラゴンは、焼け焦げ、さらに黒くなっていた。
その背中には大剣が突き刺さっていた。ドラゴンのむこう側にある黒い人影がそれを抜き、塔に入っていく。
「誰だ、あれは…奴に遅れをとるな!!」
 ──我が軍の鎧ではなかった、いったい…

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