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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜
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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜 9

「先生、フランベはもう取り込めたんだ、他に契約がいるのか?」
「ああ、いるとも、お前が無くしたローブだって、大剣を買った金だって借金だ、これが最後の仕上げだ」
しかし彼には何を言っているのかよく理解できなかった。しばらく待つと、メイドのような人に案内され、館の奥の部屋に入った。
「オリバーよくやってくれた、借金は全部帳消し、そしてこのケースに約束の物を入れておいた、持って行くがいい」
頭のはげた偉そうな人から鉄で作られた鞄を受けとると、二人は館をあとにした。
「何が入ってるんだ?その中」
「ほら、これだ」
ケースの中から紐でとめられた分厚い資料が出てきた。
「お前に刻印をつけた人物に関しての資料だ、おそらくそいつで間違いない」
「ありがとう先生…金の為に利用されてたじゃないかって、疑った自分が恥ずかしい…」
「間違いなんて誰にだってあるさ」微笑むオリバー。
「ありがとう」微笑み返すルセリウス。
元の姿に戻ったルセリウスは、満面の笑みを浮かべ朝日に向かい走って行った。

 ――厚い雲に覆われた雲の下。鬨(とき)の声がする中、精霊の声が聞こえる…
「やめとけって、竜の餌になるのが“オチ”だぞ」
戦場を駆け抜ける漆黒の戦士ルセリウス。彼の前には竜と戦う兵士たちと、天まで伸びているかのような巨大な塔がたっている。
「返事ぐらいしろって、たまには精霊の話も聞けよな」
ルセリウスは精霊つきの不思議な大剣を背中に担いでいる。それが振られる度、炎が戦場を照らし、竜の鳴き声が一つ一つ闇へと消えていく。
「頭、頭、胸、頭…」彼は呪文のように何かを呟く。
「ぷっ、何の呪文だ?」笑いだす精霊。
久しぶりにルセリウスが、精霊にむけて口を開き一言。『黙れ』
彼は口を閉じると空高く宙を舞い、『頭、頭、胸、頭…』次々に竜に飛び乗り、それらを一撃で葬りさる。
「本の通りだ…」
『俺のお陰だな』背中の大剣から笑い声がする。


 ――沢山の本棚に囲まれた空間…
ルセリウスはオリバーに貰った資料を見て、この館を訪れていた。
「でけえ建物のくせして、本しかねえのか、ここはよ」口の悪い精霊が愚痴をこぼす。

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