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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜
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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜 1

焼け焦げた村に朝日がそそぐ。
村の中央にあった広場…山のように積みあげられた石…それに花を立掛け、黒髪の男が一人立っている。彼の名は『ルセリウス』


「私を…こ、ろして…」
燃えゆく建物に囲まれ、化け物とルセリウスはみつめあっていた。
「お、願い…」
化け物は涙を流し、ルセリウスもまた、それを流していた。
「すまない…」ルセリウスが目を強く閉じた次の瞬間、彼の剣は振り下ろされていた。
「ありが、とう…」
「待ってくれよ…逝かないでくれ、一人に…しないでくれ…」
ほんの少し前まで“少女だった”化け物を前にして、泣き崩れるルセリウス。
「…許せない…あの老人…必ずみつけだして殺してやる!!うぉぉぉぉ!!」


気づくと、積まれた石を前に、ルセリウスは泣いていた。
「また…戻ってくるよ」
「約束よ?」
一瞬あの時の少女が話しかけてきた気がした。ルセリウスは涙を拭き頷くと、石を背にして歩き始める。
 ――深い森の中…
ルセリウスは切株に座り、一休みしていた。森の中は暗く静まりかえっており、聞こえるのはルセリウスの唸り声だけである。
「うっ…また“刻印”が…治まった訳じゃなかったのか」
彼の手の甲にある“刻印”は、彼の中にある、闇の力を解放しようとはたらきかける。
 ──闇の力…少女を化け物にしてしまった力…負けてはいけない、あの少女のためにも…
ルセリウスは立ち上がると、うずく腕を掴みながら再び歩き始める。
「きっと“先生”なら…急がないと」
この森をぬけた先にある街『フック』。彼が唯一信頼している人物がそこにいる。
彼の腕は歩く度に刻印がうずき、自分の体が侵食されていく気がした。それでも足を止める事はなかった。あの時までは…
「うがぁぁぁ、はあ、はあ、はあ…ぐっ」
森の出口を目の前して彼の手の甲にある刻印が、突然紫の光を放つ。そして彼の意識は次第に遠のいていった。

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