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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜
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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜 11

兵士長は門を見つめていた。
 ――塔の中の狭い階段を駆け上がるルセリウス、小型のドラゴンたちがそれを阻むが、虫を払うよう斬り捨てて走り続ける。
「一番上まであとどれくらいだ?」
精霊の問いにルセリウスは返事をしないで走り続ける。
 ──待っていろ“貴様”だけは俺の手で…
大剣を握るルセリウスの手に力がはいる。
走りに走り、最上階の前でルセリウスは足を止めた。
「どうした?」大剣についた炎が揺れる。
「フランベ…力を貸してくれ…」彼は小さくそうつぶやいた。
「その為に俺はいるんだろ?」精霊は鼻で笑う。
一歩、一歩階段を踏みしめる。最上階に行き着くと、そこには老人の後ろ姿があった。
「“エペ”の兵士ではないとは思っていたが…久しいのお」
「あの村…あの娘の為にもお前だけは!!」
「あの娘を殺したのはお前だ…しかし、せっかくここまで来たのだ、あの娘を蘇らせてやろう」
老人が紫のローブをなびかせ、床に手をやると、そこから風が吹きあれ、青く輝く魔法陣が現れた。
「お…にいちゃん…」
魔法陣から“あの村”にいた娘が這上がってきた。かろうじて人間に見えるが、皮膚はただれ、大きな目がカメレオンの目のように素早く動く。
「大成功じゃ、ヒョッヒョッヒョ」
戸惑うルセリウス、“彼女”が一歩近付く度に彼は一歩さがった。
「お前がやれないなら、俺がやろうか?」大剣から声がする。
「術者を倒せばあの娘も…行くぞ」狙うは娘の後ろで笑っている魔導士。
大剣の炎の色が赤から漆黒へと変わる。次の瞬間、ルセリウスは娘を横切り、魔導士むけて大剣を振り下ろした。
大剣は魔導士が空中に描いた魔法陣にうけられた、二人の間に電光がはしる。
「たいしたもんだの…闇の力を使えるようになるとはな」
魔導士の描いた魔法陣が光を放ち、ルセリウスの目が効かなくなった。
「しかし、まだまだじゃて」
視界が回復した時には魔法陣が彼を狙っていた。
「さらばじゃ」魔導士が怪しい笑みを浮かべると、魔法陣が輝きを放った。
目を閉じた瞬間、泥が飛び散る音がした。ルセリウスの顔に何か粘り気のある物が付着している。
「小娘が…また邪魔しおって!!」魔導士は目の前にある“何か”を蹴り飛ばした。

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