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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜
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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜 8

ルセリウスは無抵抗のまま漆黒の光に飲み込まれた。
「ちっ、自滅か?所詮は“狼”か…」
フランベが背中を向け、歩こうとした瞬間、頬を何かが横切り、そこからゆっくりと血が流れる。
「待てよ、まだ終っていない」
背中から聞こえる声は確にルセリウスの物だった。目の前の壁には頬を横切った大剣が刺さっている。
「いいだろう、大剣なしのお前など八匹でも十分だ…」振り向いたフランベは絶句する。
「人間だ、と…」
フランベが振り返るとそこには“狼”ではなく、漆黒の鎧をまとった黒髪の男が立っていた。
「弱体化したにすぎんな、かかって来い今のお前なら竜をつか…」
一瞬視界がぶれる、フランベは気付くと宙に浮き、天井を見ていた。
「選択肢は二つ、黙って俺に協力するか、このまま殺されるかだ」
フランベの首をしめるルセリウスの手に、力が入る。
「分かった、お前は気に入らないが…」
フランベの口元がニヤつく。嫌な予感のしたルセリウスが後ろを振り向くと、八匹の竜が彼をあっという間に包んだ。


塞がっていた穴が消え、中から足音が聞こえてくる。
「メェ〜…」
炎をまとった羊が中から現れた。
「コイツは炎の精霊…という事はルセリウスは…」
ふと羊の首を見ると、そこには何故かロープがついている。
「これは、俺のロープ…」
張っていたロープが緩みだし、それが地につくと、その端を掴んでいたルセリウスが歩いてきた。
「おお、人間に戻れたのか!よかった、よかった」
オリバーは頷く。しかし、ルセリウスの目は冷たいものだった。
「先生?聞いてないぞ!!一人で戦うなんて!!」
「すまん、うっかりだった…よっし、早速大剣に精霊をとり込もう」オリバーの腕が“羊”を包みこむ。
ルセリウスの怒りは、いつしかオリバーの笑顔に流されてしまっていた。

契約の期限の日の朝…二人は大きな館の前にいた。

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