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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜
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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜 7

ルセリウスの視線の先には、燃えさかる炎を身にまとった“羊”がいた。
「精霊…なのか?そうだよな、妖精と勘違いしてた…」
「何だ?こっちは名乗ったってえのに、お前は名前も言わないのか?クソガキ」
「悪かった、ルセリウスだ」彼は無愛想に答えた。
「気にくわねえな、お前見たいなガキじゃ…て、何でお前がその剣持ってんだ!!」
ルセリウスの剣を見て驚く“羊”。
「アンタの力が必要なんだ、力を貸してくれないか」
大剣を片手で持つと、それを岩山の上にいるフランベに向け挑発する。それに対し“羊”は目を閉じ、見下すような態度をとる。
「ふざけるな“狼男”め、狩る者と狩られる者の関係じゃない、助けを求める者と助けられる者の関係だ…分かった…か?」
フランベが目を開けると“狼”の姿が消えていた。
「ど、どこだ!!」
“羊”が上を見上げると、“狼”がどす黒いオーラを放ちながら大剣を振り上げていた。
「ウガァァァ!!」“狼”は聞いた者を震わせるような雄叫びをあげ、大剣を真っ直ぐ振り下ろす。
岩山がゼリーのように真っ二つになった瞬間、岩山は粉ごなに吹き飛んだ。
砕け散る岩が吹き飛ぶ中、“羊”の炎を探す“狼”。
  ──ふざけやがって…狼に狩られてたまるか!!
“狼”の目に“羊”の炎がうつった。しかし彼が見たのは狩られる者ではなく、狩る者の炎だった。
炎の柱が地面から現れ、それが一本、二本と増えていき、“狼”は十二本の炎の柱に囲まれる。
「残念だったな“狼さん”よ、この柱は『炎竜』、十二匹の不死の竜を相手にどう戦うかな?」
炎の柱は中心…“狼”にむかい傾き始め、炎の形は竜の姿に変わっていく。
「やれ」
フランベの合図と同時に、炎の竜が次々とルセリウスに襲いかかる。
ルセリウスは大剣を使い炎竜を斬ろうと試みるが、フランベの言った通り炎竜は不死であり、怯む事さえない。唯一彼ができたのは避ける事だけだった。
「逃げ場が…くそっ、うぉぉぉ!!」
十二匹の竜が一斉に襲いかかり、逃げ場を失ったルセリウスは、無我夢中で大剣を地面に突き刺した。
漆黒の光が大剣を中心に放たれ、竜はそれを避けようとする。避けきれなかった四匹の竜は一瞬にして消滅した。
「何だ…この光は」
 ……闇を享受せよ。
“あの時”の言葉がルセリウスの頭に蘇る。
「これが闇の力…」

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