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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜
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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜 5

ルセリウスは振り返ると当然のように言う。
『精霊の所だ』
鋭い牙を剥き出しにして、笑顔をつくるルセリウス。彼の顔を見るとオリバーは頭を抱えた。
「そっちじゃない、こっちだ」
それを聞くとルセリウスは恥ずかしそうに頬をかく。
「砂漠の景色は変化する、だから知らないうちに同じ所をぐるぐる回ったりするんだ…。だが心配するな、俺についてこい」
オリバーは胸ポケットから懐中時計のような物を取り出すと、一人頷き、歩きだす。ルセリウスは黙って彼の背中についていく。
「その剣の重さにも慣れたようだな」
「ああ、思った程重くない、“この体”のお陰かな?」
オリバーが笑って言う。『悪い事ばかりじゃないさ』
二人は光る砂漠をなん時間と歩いた、水はオリバーの背負っている鞄にたっぷり残っており、心配なかった。しかし、いつになっても肝心の目的地に辿り着かない…闇が砂漠を覆ったのを見て、ルセリウスは不安になってきた。
「先生、まだ着かないのか?」
ルセリウスがオリバーに声をかけると、彼は立ち止まり、懐中時計のふたを閉め、目を閉じて深呼吸をした。
「ここだ…」
その言葉を聞いたルセリウスは、急いで辺りを見渡すが、それらしき物が見当たらない。
「先生、精霊の住み家はどこにあるんだ?」
オリバーは屈みこむと、足元の砂を堀り始める。ルセリウスが彼の手元を見ていると、すぐに“それ”が姿を現した。
「この石板の下に“精霊”がいる…」
砂が被って見る事ができなかった石板。この下には洞窟があり、その奥に“精霊”がいるとオリバーは言う。
「ここにいる“精霊”はおそらく炎の力を持つ、覚悟はいいな?」
ためらいなく頷くルセリウス。その顔を見るとオリバーは微笑み、石板に手を置く。彼の口から呪文のような声が聞こえ始め、それに反応したのか、石板は音をたてゆっくり横に動く。
「この先に…オリバー行こう」
ルセリウスは迷う事なく“赤く光る穴”に飛込んだ。
「待て!!ルセリウス」
オリバーの声は彼には届かなかった。落ちていくルセリウス、狭い穴をぬけると、そこは一面溶岩の大きな空間だった。
「ちっ!!」
背中の大剣を抜き、全力で壁にそれを突き刺した。一安心したルセリウス、そこに一本のロープが降りてくる。
「事は慎重に行え、そんなんでは命がいくつあっても足りんぞ」
「分かった…」

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