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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜
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クエストフォース外伝〜大剣とルセリウス〜 12

グサッ、魔導士が振り返ると、腹から突き刺さった大剣が貫通していた。ローブが赤黒く染まる。
「ヒョッヒョッヒョ…今回は見逃してやろう…」
魔導士は大剣を腹から抜くと、煙のように姿を消した。
「おにい、ちゃん…」
壁の下にある“何か”それにゆっくりと近付くルセリウス。
「お花…ありがとう」
声のする“何か”をルセリウスは見る事ができなかった。
「すまない…」
「聞いて…私は…おにいちゃんに殺されてなんかない…」
「!」
「私は…あの人に焼かれて…だから気にする事ない…だから…」
その言葉を最後に“何か”は動かなくなった。
ルセリウスの頬を何か冷たいものが流れ落ちた。
「すまない…」そう言うと濡れた頬を拭く。
「彼女はそんな言葉、望んじゃいないぜ?きっと」と精霊は言う。
「動くな!!」突然ルセリウスの背中から声がした。
エペの兵士たちが彼を素早く囲む。
「貴様…エペの者ではないな!ここにいた爺はどこに行った!」
「知らない」彼は素っ気ない返事を返すと、一度窓の外をのぞき、飛び下りた。
「!!」兵士たちは驚き、窓の外を見る。そこには竜に乗った男がいた。男の背中はすぐに小さくなっていった。
「これからどうするんだ?」背中の大剣が話しかける。
「“奴”を追う、資料に載っていた手掛りで残っているのは…カルガルダの森にある神殿の宝だけだ」
「じゃあどっかで休んで―――」
「あの河の先にある森がカルガルダだ、さすがにこれに乗っていると目立つな…降りるぞ」
「休ませろよな!!」
ざわめく森の木々、赤く染まる空から、黒い影が落ちていく。
「行くぞフランベ」
地面につくと、ルセリウスは立ち上がり大剣を抜く。
「神殿に着いたら、ちゃんと手入れもしてくれよな」
「無事に神殿に着いたら拭いてやる、魔物の足跡だ…一仕事あるぞ」

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