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クエストフォースエピソード3約束の地に
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クエストフォースエピソード3約束の地に 4

「じゃあ、元気でな」ヴィンたちは荷物をまとめると、そう言ってハクに手を振る。
「ああ、お前たちもな」無愛想に、でもどこか温かみのある声でハクは答えた。
二人の背中が小さくなっていく。
(このまま見送ってしまっていいのか?…俺)ハクはその腰をあげた。
ヴィンは突然エミュの前に腕をのばし、歩くのを止めた。
「やっぱりハクさんを一人にしておけないんですね?」笑顔でヴィンの顔をのぞくエミュ。
しかし、彼の顔は何かを睨んでいた。そして彼は剣を抜く。
「ちょっと下がってろ」ヴィンが命令口調でいう。
ザバッ、木の上から黒いコートを着た『人』が降りてきた。黒いコートの下からは三指の足とその鋭い爪、尻尾が見え隠れしている。
「『鍵』、返してくれないか?あれ、マスターがいるって言うんだ」
「渡さないと言ったら?」剣を構える挑発的なヴィン。
「死ね!!」黒いコートがヴィンに襲いかかる、鋭い爪がヴィンの頭をかすめた。
後ろに仰け反ったヴィンはそのまま体勢を崩して倒れた。
「呆気ない最期だね…クックック」
三本の指がヴィンの体を鷲掴みにして締め付ける。
「ヴィンさんを離して!!」戦斧を振り上げていたエミュがそれを振り下ろした。そして、当たらなかった。
エミュの戦斧は、黒いコートからのびる尻尾が巻き付いて微動だとしない。
「お嬢さんは後だ!!」尻尾は戦斧を離してエミュを地面に叩きつけた。
「姫様に守られてんのか?ナイトはもっと強いもんだぜ?クックック」
コートの袖からナイフがのび、それがヴィンの首に突きつけられた。二人は沈黙する。そこへ足音が飛込んできた。
「見られたからには死んでもらう…」黒いコートが足音の主を睨みつける、コートの睨む先にいたのは少年…ハクだった。
「まだ恩返しをしてなかったなヴィン『さん』」ハクは地面に手をつける。
「お、新手の魔法使いか?クスッ」
「そうだ」ハクは何の迷いもなくそう答える。手をつけている地面に青く光る魔法陣が現れ、それは次第に輝きを増していく。
やがて魔法陣の放つ光は全てを包み込んだ。ヴィンと黒いコートは視力を失った。
二人の視力が回復すると、視線の先には、何もなかったかのように立っているハクが姿があった。
「…フッ、あんだけ派手な演出をして、なにもなしか…笑うしかないな」黒いコートは笑う。
「下級モンスターが…なめんじゃねえ!!」不機嫌な顔をしたハクが指をならす。
黒コートは倒れたヴィンを足で押さえつけたまま、剣をハクにむけて笑った。
バキバキ、次の瞬間、黒コートの肋骨(あばらぼね)が折れる音がした。ハクの拳が黒コートの腹部をえぐる。

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