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クエストフォースエピソード3約束の地に
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クエストフォースエピソード3約束の地に 1

激しい雨に濡れた川の土手を、ひとりの少年が走っていた。
その後を、黒い影が追っていた。
「オレは、ここで死ぬわけには行かないんだよ!!」少年は大地を蹴って、川に飛び込んだ。
黒い影は、少年が浮かび上がるのを待っていた。
しかし、いつまでたっても、少年の姿は現れなかった

川辺で、釣りをしている少年と神官衣の姿をした少女がいた。
「だぁー、なかなか魚が釣れない!!」
少年の名はヴィン。邪竜パレイオスの復活を阻止すべく旅をしている。しかし旅を通じて自分の力のなさを感じていた彼は、師匠の住む北の街『サライト』を訪ねる事を決意する。
決意したのはよかったのだが、手ぶらにちかい彼は、カルガルダの森の先にあるベルング街道の途中、携帯食糧がつきてしまった。その為この川で釣りをしているのである。
「じゃあ、今ある分のお魚で料理しますね。」
そういって神官衣の少女は腰を上げた。
少女の名は、エミュ。
彼女は、ヴィンがエミュの仕えるべき勇者であるという神から、お告げがあったため彼女はヴィンと行動を共にしている。
「はぁー、腹が減ってちゃ竜キラーにもなれやしねぇよ」
ヴィンが、そうやって愚痴っていたら…
突然、大きな水音が響き、川のなかから何物かが岸に這い上がってきた。
ヴィンはとっさに剣を抜き、構える。
「まだ釣竿がひいてないっていうのに、獲物が自らおでましか?」
しかし、ヴィンの緊張はすぐにほどけた。剣を構える先に現れたのは、傷だらけの少年だったのだ。
「大丈夫ですか!?、傷が深すぎます、すぐ手当てをしないと」
心配するエミュに対し、少年は腕を振り不快な顔をする。
「…俺に構うな。死にたくなければな…」
少年の態度が気に入らないヴィンは、少年の前に剣をかざす。
「エミュはお前の事を心配して言ってるんだ、謝れ」
少年はヴィンを睨むと、剣の刃の部分を握り、それを下ろさせた。
「余計なお世話だ…お前の剣の方が手当てを必要としてないか?」
少年は剣から手を離すと、笑いながら去っていく。ヴィンはその後ろ姿を黙って見送った。
「ヴィンさん!あの方の傷は本当に深いのです、連れ戻してください!!」

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