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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 43

「これは・・・」
フルフルと対峙しながら状況を把握しようと思考を巡らせていると
「あらあらあら、どんな魔術師さんかと思ったら、こんなに可愛らしい魔術師さんだったんですか」
フルフルの後ろから声が聞こえ、シンプルなデザインの服装をした女性が現れた。
「ごめんなさい・・・お怪我はなさいませんでした?お仕事とはいえ、女性のお顔に傷なんか残したら大変ですから・・・」
そう言い泉梨を気遣う女性
「フルフルを返して貰おうか」
「あらあら、それは構いませんが・・・そうしたらあの人を追い掛けるおつもりでしょう?」
フルフルの頭をなでながら泉梨に聞き返す。
「そうだと言ったら?」
泉梨が臨戦体勢をとりながら返事を返す。
「こちらもお仕事ですので・・・しかたありませんが、お相手しなければなりません・・・」
そう言うとフルフルが前に出た。
「ご心配には及びません。女性の方ですので顔や体に傷を残さないようにいたします。」
ニコリと笑うと同時にフルフルが泉梨めがけ飛びかかった。
いくら接近戦に向かないとはいえ、フルフルは立派な堕天使。その力は泉梨を砕いてお釣りが来る。
泉梨はフルフルを躱すと、走って距離を取った。
フルフルはすぐに追って来るが速度が遅い。制御のために常に光の三角形を引き連れているためだ。怖いのは雷撃だが、タイミングを間違えなければ防御は可能だ。
「我、汝に助力を乞い願う。マルコシアス!」
泉梨は再び血色の魔方陣を展開する。
呼び声に答えたのは勇壮な堕天使・マルコシアス。ソロモン七十二柱の三十五位だ。
対するフルフルは三十四位、一つ格上。だが七十二の序列においては一つの差など無いに等しい。勝負を分けるのは、術者の技能だ。
「ぶっ飛ばせ」
泉梨は静かに言い放つ。
マルコシアスは飛翔し、目にも止まらぬ速さでフルフルに肉薄すると、大剣を薙ぎ払った。
「っああ!」
女が悲鳴を上げる。
召喚維持されている悪魔は魔力を供給するため、思念波で意思疎通をするために常に術者とレイラインで繋がっている。そのため悪魔のダメージは、術者にも影響を及ぼすのだ。封印が破られた時に結衣がショックを受けたのと、同じ現象だ。
腹を切り裂かれたフルフルの痛みに集中を乱したのだろう、フルフルの姿に一瞬ノイズのようなものが走り、次の瞬間呆れるほどあっけなく消えてしまった。
しかしフルフルを撃破したにもかかわらず、泉梨は顔を顰める。
「貴様……」
涼しい顔で立つ女性を睨む。
泉梨はマルコシアスとの繋がりが消えたのを感じていた。
そしてマルコシアスは、女の横に付き従う。
「なるほどな。貴様の能力、大体把握した」
「あら?」
「その容赦の無い強制力……一瞬超能力かと思ったが、超能力者に悪魔が使役できるとは思えん」

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