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クロスロード
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クロスロード 10

足元のダッドを見向きもせず、軍中へと戻っていった。

ダリウスは―もはや復活できぬであろう―ダッドに向かって言った。
「ダッド、すまぬ。これも規則なのだ。 軍律が弱まると戦いはままならぬ。」 
「気にせんで下さい、ダリウスさん。ワシがヘマをふんだだけじゃから」
「すまぬ…言い残す事はあるか?ダッドよ」
「一つだけ…せがれを…頼みます」
「…承知した。」
ダリウスはそこに転がっていた斧をとり、ダッドめがけて振り下ろした。
「許せダッド。 これも、あの方が歩む道なのだ…」
ダリウスは沈み行く夕陽にそう呟いた。
その日の夜、革命軍は館を包囲し、テントで作戦会議を始めた。今回の戦いでサザンクロスの力が分かった、と同時に黒騎士部隊の優秀さも再確認できた。
「今回の戦いで負傷したのはダリウス隊とダット隊のみ、先頭にいた黒騎士部隊は皆盾を使い無傷。今晩中にはあの館を落とせましょうな」
黒騎士隊の副隊長キセキが、被害状況を報告した。彼は嫌味な顔をしているが頭がよく、黒騎士の軍師とも言える人物。革命軍発足の頃からの古株で、よく偉そうな態度をとっている。
「どうやって館を落とすのですか?」
聞いてほしそうな顔をしているので、一応ダリウスは尋ねてみた。
「ん?ダリウス君か、投石機で攻略しようと思っています」
キセキの顔が不気味に笑い始める。嫌味な顔がますます不快に感じられた。
「投石機は使った事がなくてね、試し撃ちも兼ねて館にぶち込む事にした、出てきた所に矢の雨を降らせてやれ」
「黒騎士殿は御存じなので?」
「無論、30分後に攻撃を開始する、準備を怠るな」
キセキはそう吐き捨てると、不機嫌そうな顔をしてテントから出ていった。
「…さぁ攻撃準備だ!!」
嫌な空気を払拭する為、テントの中でダリウスは叫んだ。
館を囲むのは黒騎士隊とダリウス隊、そして旧ダット隊。黒騎士隊を先頭として右翼のダリウス隊、左翼の旧ダット隊が弓を構えて5台の投石機を守る陣形になった。
黒騎士の「撃て」の合図で大きな岩が館に飛んでいく。
館に当たった岩はそのままその中に沈んでいった。古びた館は埃を上げて崩れていく。
館の崩れる音だけがなる中、兵士達は黒騎士の命令がでるのをじっと待っている。静けさが戦場に漂っていた。
緊迫した空気が流れる中、突然埃の中から矢が飛んできた。それは黒騎士隊の一人に向かっていた。兵士は前回同様盾を構えたが、矢はその盾貫いて兵士に突き刺ささる。
それを見ると皆自然に剣を抜いていた。
「ダリウス、化け物がいるという噂は誠のようだな…、投石は停止、弓部隊は矢を撃ち込め!相手に反撃する暇を与えるな」

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