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クロスロード
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クロスロード 11

黒騎士が剣先を館に向けると、埃の中に矢の雨が降っていく。敵に当たるかどうかは問題ではなかった、敵の一撃で下がった軍の志気を取り戻す為に矢は放たれていた。
「埃が晴れると同時に突撃するぞ!ダリウス、ダット隊はその場で待機、奇襲の可能性もある、その時は狼狽えずに迎撃せよ」
黒騎士は命令を下し終えると、すぐに突撃した。もちろん館の埃は晴れている。
「ダット隊だと?隊長を処刑したくせに、いつまで故人の名を使う気だ、そう思いませぬかダリウス殿」
「シュウ殿か…、ダット殿は軍規を乱したのだ、仕方あるまい」
「しかし…、それは隊長のこれまでの戦功を考慮していない!不当だ!!」
シュウと呼ばれた男の右手にはダットの斧が握られていた。彼の逆立った髪はまるで怒りを表わしているように見える。
「副隊長がそれでは隊がまとまりませんぞ、戦場では私情を捨てるべきだ」
「ダット隊は十分まとまっている…」
シュウは残念そうな顔をすると、そう言い残して自分の隊に戻って行った。
「若いな…」
去り行く背中に、ダリウスはそう言う他なかった。

いよいよ黒騎士隊が突撃をせんとするその時、一報の伝令が届いた。 伝令兵はボロボロになりながら、命を絞る様にダリウスに伝えた。

「伝令! こちらに凄まじい速度で近づく騎影あり!」
その声は隊内に響きわたり、一気に緊張の糸が走る。
「敵か!?数は!?」
ダリウスは同様が隠せないでいた。 今、陣容は洋館を囲む様に布陣している。当然、軍は洋館に集中している。そこに騎馬に横やりをくらうと、かなりのダメージになるだろうと考えられた。
「わかりません! しかしながら数は少数!皆、胸に十字星のマークがあるとの事!」
「胸に十字星…まさか… サザンクロス隊か!?」
ありえなかった。現にサザンクロス隊は今目の前の洋館に立て籠っているはずなのだ。それがいきなり横から現れるなど、ありえない話であった。
「むぅ… とにかくこの事を一刻も早く黒騎士殿に伝えよ!」
ダリウスはそう叫ぶが早いか、馬をひき、自ら黒騎士隊陣営へと走っていった。

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