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クロスロード
その他リレー小説 - ファンタジー

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クロスロード 7

「何者なのですか?彼は」シムが問う。
彼は最近サザンクロスに入った新米で腕は立つが内部の事情に疎かった。
「そうか、お前は入ったばかりだったな。 覚えておけ、彼等は影の者達だ。」
バルロはシムに静かに説明をした。
「わかりやすく言うと、隠密隊だ。 使える奴等だよ。」
「そうですか。 しかし彼一人で大丈夫でしょうか。」

「なに、大丈夫さ。 彼なら無事隊長の所へ行けるだろう。それより、問題はこれからだぞ、シム。さっさと持ち場に戻るんだ。」
バルロはそうシムに言いはなった。 しかしバルロの内心は黒いものが渦巻き、なにかしらと不安に襲われるのだった。
「大丈夫さ。きっと隊長達が駆けつけてくれるよ。」
そう言ったナシアスも、心の中は穏やではなかった。



革命軍基地『ファウル』内本部
「まだ捕まらんか。戦況を説明せよ。」
若い男の声が基地内に響く。
黒い甲冑を纏った男が本部に入ってくるのを見て、ダリウスは答えた。
「はっ、敵は少数ながらも精鋭。 未だ抵抗を続けております。」
「なるほどな。ダリウスともあろう者が手こずっているな。」
黒騎士はそう言いながら、つけていた鉄面を外す。 深紅のマントが僅かに揺れるのをダリウスは見た。
「面目ございませぬ。」
頭を深くさげ、事の次第を詫びるダリウスと呼ばれた男。
初老を過ぎる顔には、しかし精悍さがみなぎっており、なるほど戦士なのが良くわかった。

ダリウス・ウェルハム
傭兵一筋30年になるその筋では有名な傭兵。 彼のいる戦場には死者の山が築かれるという。 しかし最近では歳をとったので隠居生活をしているはずであった。

「ダリウス。 敵は何者だ。」
鉄仮面を片手に若者がダリウスに問う。
そう。ダリウスは彼によって戦場に戻って来たのだった。

今も戦場に響く低い声で答えるダリウス。
「はっ、敵は最近名が上がって来た『サザンクロス』という傭兵隊です。」
「そうか。 貴族共も傭兵を雇ってきたか。ククッ、面白くなりそうだ。」
全ての仕草に覇気が満ちてるな。ダリウスはそう思った。 
わしは絶対にこの方を死なせてはならん。 そうも思った。

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