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クロスロード
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クロスロード 6

「間に合ってくれ」突き進む部隊の中、リロイは小さく呟いた。


─早朝のタンガ…


「バルロ、全員いるか?」
「大丈夫だ、怪我人もいない」
囮部隊は大規模なクーデターに巻き込まれたが、誰一人欠ける事なく、廃墟と化した館に逃げ込んでいた。
「誰も住んでないようだな…」バルロは小さな声でそういった。
「ラディンの変装は止めたんだ、もう襲われないんじゃないか?」そう言いながらナシアスは剣をしまう。
「君は脳天気な奴だなぁ、相手から襲いかかってきたとはいえ、革命派の連中を百人以上斬ったんだ、今頃仲間たちが血眼で俺達を探してるだろうよ」
ナシアスはバルロに肩を叩かれると、館の中を調べ始めた。他の者達もそれに続いて館の奥へ入っていく。
「マッシュ、シム、お前らはここに残れ」バルロは二人の隊員の首根っこを掴むと、共に入口の警備するよう命じた。
数十分後、ナシアスたちが戻ってきて吉報を伝えた。この館には隠し通路があり、それは郊外につながっている事、そして食糧があるとの事だった。
しかしバルロはその食糧に疑問をもち、不快な顔をしていた。
「食糧だと?だとしたら誰かが住んでいるんじゃないのか?」
「保存食だ、館の持ち主が置いていったんだろ」
「だといいんだが…」
ナシアスの答えでバルロの表情が変わる事はなかった。
「隊長が戻ってくるまで俺達はここにいるべきだと思うが、バルロはどう思う?」
「賛成だ」
バルロは側にいたシムを呼ぶと、ある人物を連れてくるように命じた。
しばらくしてやって来たのは小柄な黒髪の男で、服装は黒で統一してあり、脇に一つ、両足の腿に一つずつダガーを携帯していた。
「トロイ、君には隊長の所に行き、この館の場所を伝えてきて欲しい」バルロがそう言うと、トロイと呼ばれた男は頷き、闇にとけるように消えていった。
「彼にならこの仕事、安心して任せられる」
「そうだな」バルロが言ってナシアスがそれに答えた。

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