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クロスロード
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クロスロード 5

「隊長、バルロに別動隊を任せてよかったのですか」リロイは目を細めていった。
「リロイ、心配ない、バルロの腕は隊でトップクラスだ、不足している所はナシアスが補ってくれる」
「おい、お前らいつまで話しておる、追っ手に勘づかれるだろうが」
サルファはラディンに頭をさげると、馬の速度を速くした。ラディンもしっかりついて来ていたが、その姿は乗馬というより、必死にしがみついているようにしかみえなかった。
サザンクロスは空が明るくなるまで走り続けた。そして、止まる。
「ラディン様、ここが国境です」
ラディンは目を細める。国境といっても関所とは違う、そこには線などひいてあるわけもなく、ただ戦場となった証しがそこら中に落ちていた。
「死体の山だな、気持ち悪い…、ほれ、これが報酬だ」
ラディンは腰につけていた袋をサルファに投げ渡すと、何も言わずに国境を越えていった。彼の従者はサルファに近寄ると、耳元で何かを囁きラディンの後を追って行った。
「リロイ、仕事は終わりだ帰るぞ」サルファはそそくさと部隊を引き返そうとする。
「はい、ナシアスとバルロが気になります」リロイが返事を返した時、叫び声が聞こえた。
男の声だった、しかも少し前に報酬をくれた男の。
「隊長、今の!!」
「帰るぞ、リロイ…」
「でも!!」
「命令だ!!」
リロイは眉間にしわをよせると、小さな声で「はい…」と返事した。
サルファたちが引き返そうとすると、後ろから馬の走る音が迫って来た。
「くっ、剣を抜け!!」サルファの命令に従い、部隊は再び国境を向いた。
遠くの方から2頭の馬が走ってくる。1頭はラディンの従者が乗っていたが、灰色の馬にラディンの姿はなかった。
ラディンの従者はサザンクロスに近付くと止まり、誰も乗っていない灰色の馬をサルファに向かって歩かせた。
「分け前だ」従者は笑顔でそう言った。
「“この一年”楽しかったよ、“あれ”を守れば守る程、懸賞金が上がったからね、でも一年契約だったから…、昨日で終わっちゃったんだ契約、それに“あれ”を消す仕事も請け負っちゃったしね」元従者は楽しそうに語る。
「雇主に情がわかないとはな、さすがSランクの人間は違うな」サルファは冷たくそれに返す。
「勝手に隊を抜けておいてよくもそんな事を…、まぁいい、そろそろ戻った方がいいよ、君の部下全滅かも──」
サルファを先頭にサザンクロスは猛スピードでタンガへ戻る、ラディンの愛馬と共に。

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