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クロスロード
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クロスロード 4

その頃西の王国タンガでは、クーデターが勃発しており貴族の首が次々と落とされていた。ラディンも例外ではなく、何度か命を狙われていた。
そこで早い、安い、使えるサザンクロスが雇われる事になったのだ。
ラディンは大の女好きで、金にものをいわせ50人程の女を抱えていた。それだけでなく、逆らった女を殺し、むさぼり喰っているという話も大陸全土に広まっている。
サザンクロスはタンガへ向かう途中、誰一人ラディンの事を口に出さなかった。
「おお、友よ!!よく来てくれた、待っていたよ」
真夜中の墓地でサザンクロスとラディンは落ち合った。ラディンの第一声に、隊員たちは皆頭を抱える。
「大声を出されては困ります、命を狙われているのですよ?ラディン様」
サルファは抱き付いて来たラディンの肩を掴み、そう言った。
「馬は用意してあります、どうぞ」サルファが部隊の馬へ案内すると、ラディンは首を横に振った。
「わしをこんな駄馬に乗せる気か?わしも馬ぐらい持っとるわ!!」
ラディンの従者が馬をニ頭連れていた。一頭は静かな灰色の馬で、もう一頭は大きな体に赤い色をしていた。
「可愛いだろ、わしの愛馬ホワイティだ」ラディンは灰色の馬をさすりながら微笑んだ。
「ではそちらの赤い馬は」
「ああこの馬か、これはわしの従者のだ、そこでニコニコした奴だ」
ラディンに指を差されると、従者は笑顔で会釈をする。整った顔と肩まで伸びる黒髪のせいか、まるで女のように見える。
「顔は綺麗だが、わしはそっち気はない…、しかし奴はああ見えて腕はかなりたつのだよ、だから買っている」
サルファの隣りにいたバルロは一歩前に出ると、膝をついてラディンを見上げた。
「あの者は解雇し、護衛は我々にお任せください、隣国の都市まで必ずお守りします」
「断わる、奴がわしの命を守り始め丁度一年になる、この信頼は揺らがぬよ、お前らはとりあえずなのだ…、でしゃばるでない!」
「申し訳ありません…」バルロは頭を深く下げるとサルファの後ろにさがった。
「申し訳ない、部下の教育がいきとどかぬばかりに」サルファが頭をさげると、ラディンは彼の足を踏み笑った。
「無駄話はもういい、早く行くぞ、タンガで死ぬなんぞまっぴらだ」
サルファは丁寧な言葉でそれに返すと、サザンクロスを二つの部隊に分けた。サルファの率いる一部隊をラディン護衛に、ナシアス率いるもう一部隊はラディンの偽者で囮をする事とした。
「生きて戻れ、命令だ」サルファはナシアスにそう命令した。部隊を分ける時、彼は必ずこの命令をするようにしている。
ナシアスはバルロの背中を叩くと、胸をはり天に向かって拳を上げる。サルファはナシアスの自信にあふれた顔をみると、リロイを連れて馬を走らせた。

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