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クロスロード
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クロスロード 19



タンガの任務が終わって一ヵ月後…
サザンクロスのランクは『C』に昇格されていた。それと同時期にタンガの国名も『新生タンガ』と変わっていった。
「リロイ、動くなよ…」
「なぁ、ホントに大丈夫なのか?」
どこまでも広がる草原で、隻眼のシムがリロイに向けて弓を構えていた。リロイの頭には赤いリンゴが一つのっていて、二人の距離は300mはある。
「お前の弓の腕は認めるから、もうやめよう!!」
リロイが大声で叫ぶ、その近くでスパークが笑いながらリンゴをかじって座っていた。
「約束は守れよ?スパーク!!」
「分かってる、リンゴに当たればサザンクロスに入ってやるよ!!その代わり外したら俺達の隊に入れよ?」
スパークはシムを鼻で笑うとリロイに言う。
「心配しなくてもあの距離じゃ届く訳ない」

シムはゆっくり弓を引き、力強くそれを放った。普通長距離で矢を飛ばす時、空に向けてそれを放つものだが、シムの弓はしっかりとリロイに向けられていた。
パシン、とリロイの頭上で何かが弾ける。シムの放った矢は、なんとリロイの頭にあったリンゴを粉々にしてしまったのだ。
「マジかよ…」
「約束だよな?」
不敵な笑みを浮かべたシム。
すでに先の戦いで失った眼の影響は無いようだ。
それどころか隻眼の眼からは、修羅場を潜り抜けたれっきとした戦士の光があった。
「はぁ…まさか当てるとはな。腕をあげたな?」
「当たり前だ。俺もサザンクロスもこれからドンドン強くなる。スパーク、お前もだよ。お前の力はサザンクロスの為になる」

スパークは冗談の様に笑ったが、その笑い声は何故か乾いていた。
「ははっ、そうだな。サザンクロスは強くなりそうだ。その内タンガで一番、いや、世界にも名を轟かすだろうな」
「心にも無い事を。で、どうなんだ?スパーク。約束は守るんだろうな?」
フン、と鼻で笑ってみせたのはスパークだ。
「そのうちに…な」
そう言ってスパークは去って行った。

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