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クロスロード
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クロスロード 17

ナシアスは自分の剣を床に突き刺すと、瓦割りでもするかのような構えをする。
「馬鹿な奴だ、素手では私は…、殺せんよ!!」
キセキの声が聞こえた瞬間、ナシアスは拳を上げそれを床に叩き付けた。二人の周りに床のヒビが円を描く。そして砕けた。石でできていた床から、幾つもの巨大な岩が天井に向かって飛んでゆく。
「ぐふっ!こ、こんな事が」
キセキは岩にぶつかりながら宙を舞っていた。そこへバルロが岩に乗って飛んで来た、彼は笑顔でこう言った。
「チェックメイト」
キセキの体はボロボロで、バルロの剣を避ける余力は残されていなかった。バルロの剣はキセキの頭を捉え、真直ぐ振り下ろされた。
しかし、斬る事ができなかった。バルロはそれまでの戦いで剣を酷使し過ぎていて、剣は逆に折れてしまったのだ。
全ての岩が床に落ちた時、その部屋で立っていられたのはバルロ一人だった。
目の前にはナシアスの刺した五本の剣が丁度並んでいた。彼はその中から一本抜くと倒れているキセキに近付いた。
「サザンクロス、舐めんなよ!!」
「そこまでだ、小僧」
バルロが剣を振り上げた時、部屋に新たな敵兵が入ってきた。先頭には黒い仮面を被った不気味な男が立っている。
「チッ、援軍か…、焼きが回ったな、ナシアス立てるか?」
バルロの言葉にナシアスは全く反応しない。バルロは目の前の四本の剣を見渡すと、黒騎士に剣を向けた。
「あと五本ある、俺は負けねぇ!!」
バルロはそう叫ぶと、剣を握ったまま倒れてしまった。黒騎士は首を右から左へと向けると、その部屋の悲惨さに目を細める。
「たった二人でこの戦場だと…、敵の二人を捕らえよ!!味方の治療はそれからだ」
黒騎士の命令で兵が動こうとした時、突然天井が崩れだした。舞い上がった埃が晴れると天井の穴から光の柱が伸びているのが分かった。
「悪いけど部下は貰っていくよ」
光の中にはサザンクロスのサルファがいた。両腕にはナシアスとバルロがぶら下がっている。
「サルファ!!」
黒騎士は彼の姿を見ると走り出した。瓦礫の中を駆けて行くが、その間にサルファはロープに引っ張られて、天井穴へ吸い込まれていく。
「俺はお前を許さない!!絶対に!!」
黒騎士がそう叫んだ時には既にサルファの姿はなくなっていた。黒騎士の握る拳は震えていた。

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