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クロスロード
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クロスロード 16

ナシアスが剣を振るう。
その度に革命軍兵士は血を撒き散らしながら倒れて行くのだった。
バルロの剣が剛剣とするならば、ナシアスは全くの静極であった。 両の手から伸びる二極の剣は敵陣を滑る様に舞い、的確に急所を切りつける。
ナシアスもまた鬼人であった。

負傷の身とは思えぬスピードで、右に左へと切り返す。 右手の剣が水平に走ったと思えば、左手の剣が縦に大気を裂いた。
「はぁ、はぁ、バルロ!!生きるぞ!!生きて帰る!」
「へっ、そりゃさっき俺が言ったよ!当たり前だろ!」

奮闘する二人。そこに黒騎士隊の副隊長キセキがゆっくりと近付いてゆく、ナシアスたちは疲労からそれに気付く事ができない。キセキは辺りを見渡すと顔を歪めて叫んだ。
「たった二人にどれだけてこずっているのだ!!どけ、私がやる!!」
がたいのいい男たちの間から、嫌味な顔をした男がナシアスたちの前に現われる。男は片手に切れ目のたくさんついた不思議な剣を握っていた。
「黒騎士隊副隊長キセキ、そなたらの命を貰い受けるため参上した!部下の敵故本来ならいたぶって殺したい所だが、今は時間がない…、楽に殺してやる!!」
そう言ってキセキが床を蹴ると、彼の姿はどこかへ消えてしまった。ナシアスとバルロは背中を合わせてキセキの攻撃に備える。
「チッ、何処だ…」
ナシアスはそう言うと、下に散らばった屍たちの剣を床に刺して障害物を作りだした。四つの剣がナシアスとバルロを守る様に床に突き刺さっている。
二人を囲んでいた兵士たちは誰も動こうとしない、キセキの攻撃もなく、静けさが部屋を漂う。
「死ね」
しばらく二人が構えていると、どこからともなくそんな呟き声が聞えた。二人の剣を握る手に力が入る。
二人に向かって突風がふくが、そこにキセキの姿を見る事はできなかった。突風は何度も続き、それと同時に二人の体に傷が増えていく。
「ナシアス、手も足もでねぇって、この事だな」
「そうだな…、賭けてみるか」
「ん?」
「“必殺技”を使う、後は頼んだ」
バルロはナシアスの言葉に一瞬息を詰まらせたが、彼の目を見ると無言で頷いた。

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