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クロスロード
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クロスロード 12

猛スピードで走るダリウス、しかし彼の目に、先回りしていたシュウが立ちはだかった。シュウは巨大な斧を地面に突き刺す。
「何処に行くつもりだ、俺達の任務は投石機を守るだろ?」
「そこをどけ、お前は隊の指揮に戻れ」
ダリウスは剣を抜き、シュウは巨大な斧をダリウスに向けた。
「ダット隊長はお前に殺されたと聞いている……、俺と一度手合わせしてくれないか」
「状況に対して冷静に判断しろ、そこをどけと言っている!!」
次の瞬間、ダリウスの剣とシュウの斧がぶつかり合い火花が散った。両腕で剣を握るダリウスに対し、シュウは片腕でそれを防いでいた。
「弱い…、正面に戦えば隊長がお前にやられるはずがない!!」
「そこを……、どけー!!」
ダリウスは剣柄の右手を相手を殴るように握りかえると、それを梃子としてシュウの斧を押し返した。
「くっ、死ねー!!ダリウス!!」
シュウは弾かれた斧を振りかぶると、そのままダリウスめがけ斬りかかった。斧を振りおろした時、シュウは確実に斬ったと思った。しかし…
「お前は戻って隊の指揮しろ、分かったな!!」
何故かダリウスは走り去って行く、そしてシュウは地面に膝をつき腹をおさえていた。シュウの鎧の腹部が見事にへこんでいる。
「ちくしょう…、畜生畜生畜生!!」
地面を叩きまくるシュウ。仇討ちができなかった悔しさと、峰打ちされた敗北感がシュウを憤らせていた。
シュウはダリウスの背中を睨んでいたが、それは次第に小さくなって、見えなくなってしまった。血だらけの拳で斧を強く握っていた。彼はしばらく立ち尽くすと、我にかえり急いで隊へと馬を走らせた。


「隊長!!」
隊に戻ると、駆け寄ってきた兵士にシュウはそう呼ばれた。ダットとは背格好は似ていない、しかしちりじりになった部隊にそんな事は関係なかった。投石機は既に破壊され、部下の屍がそこらじゅうに落ちていた。
「状況を報告しろ!!」
「はっ!!隊長が陣を離れてすぐに敵襲にあいました、敵は少数ですが腕のたつ騎兵隊で、未だに被害状況の確認ができておりません」
「全員盾と槍を構えよ、俺を中心に円を作れ!!」
『はっ!!』
数人が同時に返事をし、その者たちが部下をまとめ、すぐに守りの陣形が出来上がった。この陣形は盾と盾の間から槍が突きでていて、馬が突撃できないようになっていた。
「ここで死ぬ訳にはいかん、何としてもサザンクロスを打破り…、ダット隊長の無念を晴らすぞ!!」
シュウの鼓舞に皆がトキの声で答えた。士気の高まった兵士たちの目は鋭気に満ちていた。

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