ダークヒーロー 8
「綺麗な赤だ…」
兵士たちを斬っている時、俺はそう思った。防弾チョッキ等の防具も、俺の刀の前では紙切れ同然で、斬られてた瞬間、兵士はただの肉片になっていた。
誰も俺を止められない。
遠距離でマシンガンが向けられると、その距離に応じて俺はワルサーP99と突撃銃を使い分けた。
ワルサーは使っていると何故か自分が“ヒーロー”になった気分になる、突撃銃は外す可能がある時、仕方なく使った。
とはいうものの、なるべく使わないようにはした。敵の数が絶対的に多いからだ。弾が足りない、撃たれそうになったら大体、敵の銃を使うか、敵を盾にして凌いでいた。
しかし、それはあくまで撃たれそうになったらの話。俺に銃口を向ける前にほとんどの敵は、俺の刀の錆になっていく…
「はぁはぁ…、後どれだけ…」
戦闘開始から一時間はたっただろう。クッキーの襲撃で戦力の半分以上削れている。俺が今相手にしているのはその残りだ、しかし残りと言っても相手は一万の兵、俺の体にも疲労が蓄積されていった。
「おかしいですねぇ威勢が良かったのは始めだけ、ですかね?」
ピアスの男が俺を鼻で笑った。疲れてはいるが、俺の刀には血が確実に上塗りされている。兵の屍と生存者の数も半々になってきたはずだ。鼻で笑う余裕がどこからきているか、俺には理解できなかった。
「そこまでです!!あまり調子にのらない事ですね」
ピアスの男が手を叩くと、十字架が2本運ばれて来た。十字架にくくりつけてある人物は裸にされ、体中傷だらけで、顔は誰なのか分からない程ぐちゃぐちゃになっていた。
「管理制御室にいたネズミだ、見覚えあるだろ?もっとも、顔では見分けがつかないだろうが、クックックッ…、アーハッハッハッハッ!!」
「貴様…」
「さぁ武器を捨てて降参しなさい、そうすればお友達の命、“今”は助けてあげましょう」