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ダークヒーロー
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ダークヒーロー 3

建物の中心にある幅の広い階段、そこからゆっくりと空色の服の女が降りてきた。
その隣りには筋肉質の男がいる。男の左右の頬には黒いペンティングがされていて、頭には鳥の羽がついていた。
「何だありゃ、インディアンか?」
俺が階段の下から二人を見ていると、インディアンの方が女の歩みを止め、一人で俺に向かってきた。
「俺がお前を知らないとでも思っていたか、“殺人鬼”」
どうやら俺への印象は悪いらしい、それも相当。インディアンが腕を組んだまま胸元のナイフに手をかけている事からも、それはよく分かる。
「殺す気はない、ただあの娘と話をさせてくれ、昨日失礼な事をしてしまったんでな」
インディアンはしばらく俺を睨み付けると、顎で女の方を差した。
「変な動きをすれば貴様の命はもらう、疑われるような事はするなよ?」
何故かインディアンは女と話をする事を許してくれた。殺すしかないと考えてた俺にとって、その行動は意外過ぎた。
俺は少し考えたが結局女のもとへ向かった。俺が自分の名前を名乗り、昨日の出来事を詫びると、女はいきなり笑顔で顔を近付けて、こう言った。
「私の後ろの男たち、全員殺して、貴方の後ろは私が殺るわ」
俺は銃を抜くと階段の上にいた男たちを、女は階段の下にいた男たちを一発も外す事なく撃ち殺した。それはあっという間の事だった。
「これでチャラにしてあげるわ、御機嫌よう」
そう言うと女はインディアンと共に背をむけて去って行こうとした。
俺は二つの背中に銃を向け、撃った。
見事に撃ちぬかれた背中は、床に這いつくばったまま息絶えた。二人の男の握っていた銃は、女とインディアンに向けられたまま床に転がっている。
俺は喜びを憶えた。今まで“人類”の為に犯罪者狩りをしてきたが、今の俺は個人…、女の命を守る為に人を殺していた。

「俺を護衛にしろ!!」

インディアンは振り返ると俺を睨んだが、女の方は笑顔で首を縦にふった。
この二人についていっても犯罪者狩りを止める気は毛頭ない、犯罪者が人類を脅かしている事に間違いないのだ。“止める理由”は何一つないからだ。



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