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ダークヒーロー
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ダークヒーロー 2

俺はそんな醜い人間たちに“殺人鬼”と言われているが、人間である事にかわりはない、生きていくには金がかかる。
金を稼ぐには懸賞金のかかっている犯罪者を殺すのが一番だ。さっきの屋敷の主人も実はその一人、その“証し”を俺はリュックにつめて持ち歩いている。
しかし今いる所から『換金所』までは距離がある。このまま“証し”と二人っきりで夜を過ごすは気持ち悪い。そこで俺は久しぶりにホテルに泊る事にした。


ホテルのロビーに入るといろんな女が派手な格好して立っていた。俺はその中から適当に一人の腕を掴むと、そのままカウンターへ向かう。
「いくらだ?」
パチンッ、俺が女に値段を聞くと、女は俺の頬をおもいっきり叩いた。痛くはなかった…
だが生れて初めて女に叩かれた俺は、状況がよく読み取れないでいた。
「まさかお前…」
「放して!!やめてください!!」
女は目を潤ませ、必死に俺の手を解こうとした。でも俺はその手を放さない、いや、放せなかった。
この手を放すと一生この女には会えない、そんな気がしてならなかった。
「ゴホンッ、お客様?」
俺が黙って女の目を見つめていると、ホテルマンが二人の時間を邪魔しに来た。奴は笑顔で俺の顔を見ている。
その態度に腹を立てた俺は怒りに任せて銃を抜いた。すると女は俺の手を振りほどき、何処かへ行ってしまった…
ロビーにいるのは皆娼婦だと思い込んでいた。しかしさっきまで手を握っていた女はそうではなかったらしい。
結局俺はロビーで違う女の手を引くと、その女と夜を過ごす事にした。一緒にいるのは誰でも良かった、はずだった…
今の俺はあの時の女が忘れられない。黒い巻き髪に空色の服、白い膝まであるスカート。違う女を抱いているのに俺の頭の中はあの時の女の事で一杯だった。



次の日の朝、俺は女を部屋に残したままロビーで待っていた。勿論昨日の“空色の女”をだ。
彼女の情報は今朝手に入れた。昨日銃を突き付けてやったホテルマンに、空色の女の事を聞いたのだ。

「まだこのホテルにいる」

俺はそう呟き、そして自分に言い聞かせた。会ったらどうするかなんて考えてない。俺はあの女に惚れた、ただそれだけだった。

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