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【旅】
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【旅】 2

 僕の国は貧しくてね、とてもまともに生きては行けないような所だった。食料も政府から支給されていた。それだってカビのはえたジャガイモとか、麦と粟を混ぜたもの。それも、よく砂利が混ざっていた。ヒドイのだったね。今思い返すと良く生きていられたと思うよ。それでも、旅に出る時は非難された。
馬鹿なことはおよし、今にこの国はきっと良くなる。大きくなる。って母親はいつも言っていた。僕が黙って家を出てきた時も…。本当にそう信じていたのか、それとも世間の視線が気になってそんなこと言ったのか、今になったら分からないけど、そんなことは関係がなかった。
そう、関係はなかったんだ。僕が旅に出たのは、国がどうこうとかそういう事ではなくて、そうだな…言うならば、行かなくちゃいけなかったんだ。どうしても自分がすんでいるちっぽけな世界が気にいらなかった。僕には広い世界の方が居心地がいいに決まっていると思っていこんでいた。いや、実際もそうだったんだけどね。
で、僕は家を出たわけさ。朝早くに、最低限の荷物を持ってこっそりまだ日が上っていない道に足を踏み出したんだ。もう感動だった。不思議な事に、話した通りに僕は色々な所を旅したけど、その時の事が一番記憶に残っているんだ。
先に言ったけど、母親は最後まで僕をそして、旅を否定したんだ。家を出てから何日か目、僕は靴の底に違和感を感じたんだ。見てみると、そこには手紙と、今まで一度も見たことのない、国で一番高価な紙幣が入っていたんだ。手紙にはこう書いてあった。

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