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【旅】
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【旅】 1

ちゃぶ台、裸電球、カレンダー。取って付けた様な物で飾られた薄暗い部屋。人が5〜6人で一杯になるくらいの広さで、不思議なことに窓は一つも見当たらない。換気扇のようなものが天井の角についているが、機能してないのか、そこから光は一切射してこない。実は先ほどから話しているこの部屋、重要な`物`がない…。
そんな部屋と全く同じ造りの部屋。違うと言えば、そこには家具が一切ない。ちゃぶ台もなければ裸電球もない。真っ暗だ。だから勿論カレンダーも壁にかけられてはいない。この部屋はまさに殺風景だった。ただ、中央に人が二人座っていることが最も大きな違いと言えるだろう。
二人は話していた。いや、一人が一方的に聞き手に回っていた。短髪で、目の大きな男の子。年齢は十、二三才といったところだ。熱心に話を聞いている。話し手なのは、こちらは線の細い青年。髪は自分で切ったのか、ところどころ長過ぎるが、そこが絶妙に良く似合っているように見える。
見えると言ったが、実の所は真っ暗な部屋だ。二人はお互いが見えていない。男の子は闇の中から聞こえる声を聞き、青年は闇に向かって話していることになる。さて、何を青年は熱心に話しているかというと…。「……って言う国の話でした。どうだい? ふざけた話だろ? でも、この世にはこんなふざけた国が実際にあるんだよ。」
「まあ、僕のように旅に出ないとこんなにたくさんの出来事に出くわす事なんてできないとは思う。人は言うよ、旅なんてよほどの暇人か馬鹿がするものだってさ。確かにそうなのかもしれない。でも、人より多くの物が見れて、人よりも広い世界を持つ事ができる。これって素晴らしいことだと思わないかい?

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