三種のカード 3
宏樹の額に汗が浮かんだ。突然の対戦者の変貌に戸惑いながらも、なんとか頷く。
正確には、頷く以外に出来ることがないのだ。言葉が、でない。
「今やカードは全世界に溢れ帰りその種類は誰にも分からない程だ。で、ここで質問。――それだけの種類のカードを、一体だれが作っているのか」
そこまで言うと和哉はおもむろに、デッキから一枚、カードを取り出した。
カード名……「人型1」。
絵には何も描かれていない。
「答えは簡単。“三種のカードが意思を持ち、人間をカードにして増やしているから”。お前も今から、カードになるのさ」
「え……うわああああああ!?」
人型のカードに、宏樹が吸い込まれていった。
そしてカードの絵柄が、ゆらゆらと変わっていく。
「“暗黒の欲光木”相手の手札を一枚奪うモンスター、ランクは2か。ザコだな」
和哉は手に入れたカードをその辺に捨てると、その場から立ち去っていった。
三種のカードは、カードから人間になった。
彼らはカードになった方がいい人間を見付けては、その人間と戦う。
勝った方は人間にふさわしく、
負けた方はカードにふさわしいので、カードに変える。
そうして仲間を、増やしていく。
自らがカードに変わるその日まで……カードは少年として、生き続ける。
新堂 和哉。
この物語は、一人の少年の物語である。
和哉がこのカードを手に入れたのは、今にも潰れそうな玩具店で、
「坊主、珍しいカードがあるけど、見てみるか?」
和哉はいかにも怪しげな店主に警戒心を抱くも、
「試しに遊んでみればきっと嵌るぞ。」
店主から手渡されたカードデッキを見て、
「す、凄く強そうなのがあるな。」