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光闇予言書
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光闇予言書 1

光の王国と呼ばれるイリアス王国王宮に、ある朝こんな落書きが見つかった。

 光闇予言書を手にした者は、天地を支配し、永遠に栄える。もし手にしたくば、九人の「選士」を遣わすべし。

光の九選士
オルゴン
グリーフ
クレオ
ウェリアル
シルド
カルガダ
ミルボロ
ウラバ
ルギムライ
 闇の王国と呼ばれるヘアン王国王宮に、ある夜こんな落書きが見つかった。

 光闇予言書を手にした者は、天地を支配し、永遠に栄える。もし手にしたくば、九人の「選士」を遣わすべし。

闇の九選士
ドルカーン
ナイニグル
サウリム
マガツミ
クスラル
サタナグ
グラチカ
ダイマーラ
ワーグイ


 …なんといっても、落書きだ。王宮ともあろう場所に、いつとも知れず書かれた事実は不思議ではあったが、さして気にはかけられず、両国、それぞれ掃除のオバチャンに命じて文字を洗い流した。
 ところが、である。次の日、これは当事者たちは知らぬことながら、今度は両国、時を同じくして正午──その前と王宮の壁の位置は同じながら、内容は別な落書きが浮き出してきたのである。

 光闇予言書は、ラヤコド山地、カトンナ山のウボ峰、火の泉湧き出ずる地に在り。

 これを記せしは、スグレンティセメイヤ。


 ──スグレンティセメイヤ!
 その名は、すでに世俗から…というより世界から、噂を絶って数十年、もしかしたら百年もするかも知れない、伝説の大魔法者であった。
 光の王国イリアスで、国王ホムカルアは、学問の師でありなかなかの力を持った魔法者でもあるカルガダに尋ねた。
「まことであろうか…スグレンティセメイヤとは」
「おそらく」
 80になんなんとして、なおかくしゃくとしたカルガダは答える。
「でもなくば、──ご存知のごとく、王宮周りには配下の者に魔法的な結界を張らせておりますゆえ、滅多なものがあのような魔法を顕すことは不可能かと」
「では、では…」
 と、ホムカルアは身を寄せ、
「あれは…まことなのか?老師と、近衛騎士隊隊長、ミルボロ、余の甥、オルゴンの名もあったな、──あれは、親の代の…つまりは我が弟の謀反には関わりもないに、一族もろとも、辺境に流されていたはずだが…」
 話の先走るホムカルアを、
「陛下、陛下」
 カルガダは抑えて、
「さほどに真面目にお考えとは…陛下におかれましては、地上に覇を興すことをお望みかと思いましたぞ」
「まさか」
 と、ホムカルアは首をふったものの、
「が、心配ではある」
 カルガダは少し考えてから、
「ははあ」
 と分かった顔をした。

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