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最果ての城
その他リレー小説 - ファンタジー

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最果ての城 8

「大丈夫、宿主は俺の母ちゃんだから」
マラナは怪訝そうな顔をするが、レオはそれを無視して宿に入っていった。
「ただいま」
「コラ、あんたは狙われてるんだ、ただいまは言わなくていいからさっさと入んな」
宿主の老人も当たり前のようにレオを迎える。老人はマラナと目が合うと深くお辞儀をした。


椅子に座るとテーブルに紅茶が出された、匂いを確かめるとマラナはそれを口にする。
「レオを助けていただき感謝しています、でも…」
マラナの頭に黒い銃が突き付けられた。それを握る老人の手は小刻みに震えていた。
「レオの命を守る為なんです…」
マラナは銃を突き付けられているのにも関わらず、静かに紅茶を飲み続ける。
「聞いているの!?」
「聞いていますよ、でも私はレオを売る気はないです、心配しないでください」
「今までどれほどの人間たちが同じ嘘をついてきた事か!!」
老人の怒鳴り声にマラナは微動だとせず紅茶を飲み続ける。
「子供の産めない私にとって、レオは大切な子供なの、私の幸せを奪わないでちょうだい!!」
カチャッ、老人は引き金をひいた。が、弾は出なかった。紅茶を飲みながらマラナは片手で弾の入った箱をつまんでいる。
「それは私の銃の!!」
「あなたがレオを大切にしているのは分かりますが、その度に湖に死体を沈めるのはいかがなものかと…」
「レオは弱い子なの、私がついていないと…」
「母ちゃん、その辺にしといてくれ」
レオがタイミングよく隣りの部屋の扉から現われた。
「でも…」
「俺は旅にでる、母ちゃんが人を殺すのも、俺が湖にその死体を沈めるのも、もう飽きたんだ」
「それはあなたの為に──」
「俺の為!?冗談じゃない、こんな生活はもううんざりだ、世話になったな!!」

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