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最果ての城
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最果ての城 7

淋しそうに倒れている死体の胸元には、一枚の紙が入っていた。
それは士官願いの紙だった。その士官先は…
─ヴァラキア─
と書かれていた。


宿に向かう間、レオは何度もよろめいた。

「うん……血を流し過ぎた」

四度立ち止まった所でレオが言った。

「しかし恐ろしい生命力だな。人狼は皆そうなのか?」
「……そ。そのせいで皆攫われちまった。何処の国の奴等だったのかも分からねえ。今頃その国は人狼部隊の訓練で忙しいだろうよ」
「……どういう事だ?」
「洗脳魔法の強力なのを食らったんだよ。耐性持ってた方が辛かったな、あれは。生き残ったのは俺を含めてたった三人だった」

レオの瞳が怒りにぎらつく。
マラナは、洗脳を免れた者が、洗脳された仲間達に殺される場面を想像してしまい、嫌な気分になった。

「戦争というのは、長引けば長引く程手段が選ばれなくなるものだ……しかし魔法か……魔法はリスクが大き過ぎる。そんな時代遅れの手法をとる国といったら、限られている」
「何だ?知ってるのか?」
「いや、とにかくそいつらの格好を教えろ。分かるかもしれん」
「軍人なんて硝煙臭いばっかりで見る気にもならない。皆同じ格好だしな」
「ほう?……まあいい。章はどうだ?徽章でも国に依って微妙に違うものだ」
「そんなの俺に分かる訳ねえだろ」

レオは吐き捨てる様に言った。明らかに苛立っている。

「知りたくないのか?ならこれ以上質問はしない。嫌な事を思い出させて悪かった」
「す、すまん質問があるなら言ってくれ……」

やはりレオも仲間の仇の正体を知りたいのだ。

「じゃあ、そいつらの言葉はどうだった?」
「言葉?そう言えば……言葉の最後が何か変だった気が……」
「決まりだ」

マラナは立ち止まった。

「……何処だ?」
「山林と魔法の国、レニチケ」
「よし、じゃあまずはそこに向かって旅をしてくれ。そこに着くまで協力してやるから。な、いいだろ?」
「いや待て、お前のその格好では目立ち過ぎるだろう。大体今も宿までついてくるつもりなのか?」

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