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最果ての城
その他リレー小説 - ファンタジー

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最果ての城 6


「慌てるな、銃を下ろせ。こっちが持っているのはナイフだけだぞ?」
「狙撃銃だってあるだろう。とにかく両方地面に置け」

男は意外にも素直に従った。余程自身があると見える。

「で?所属は?これは俺が先に言う訳にはいかないのは分かるよな?」
「ヴァラキア」

男は暫く沈黙し、にやりと笑った。

「お嬢さんはくじ運がいいみたいだな」
「……」

マラナの背中を、汗が伝った。

「ミヘザエル。証拠の章もある……しかしヴァラキアか。俺がシェザールの者だったらどうした?」

からかわれたらしい。
「心配するな、ギミックボディの女を抱く趣味はねぇ、手を貸せ、俺一人じゃこの人狼は運べねぇ」
マラナはいつの間にか倒れたレオを見る。そこに転がるのは2mはある体だ、確かに一人では運びにくい。
「ちょっと待て、私たちもそこの死体みたいにならないか?」
レオとマラナの関係は言葉を交わした程度、下手をすれば自分も殺されかねない。
「心配するな、仲間は殺されてしまったが、もう麻酔がまわったはずだ、それに…」
男は間を置くと仲間の死体を蹴り飛ばし湖に沈めた。湖をよく見ると死体が沢山沈んでいる。
「俺は聞いちまったんだ、こいつが俺を殺そうとしている事を、俺たちがついた任務は“人狼”の捕獲、別名“左遷”だ」
「…殺されると分かって何故任務を続けていた?」
男はマラナの質問を鼻で笑うと、地面座り込んだ。
「“人狼”は伝説の生き物と聞いていたが、調査をすすめると本当にいる事が分かってきたんだ、だから捕獲したら他国に売って士官すると決めていた」
「仲間はそれを知っていたのか?」
「知らない…、俺を殺そうとしていたんだ、そんな事話したらその場で射殺だ」
「じゃあ丁度良かったな…」
「“湖の仲間たち”も一緒だ、淋しくはないだろ…」
マラナは男と協力して人狼をトラックに積んだ、彼女はお礼に金を受け取りそのまま宿に歩いていった。
「すまんなレオ」
パーン、乾いた音がマラナの後ろで響いた、音がしたのはトラックのあった方だ。マラナは振り返る。
彼女がトラックまで戻ると、男が粉々になった狙撃銃を握って倒れていた。顔は見れたものじゃない。
「私を殺す気だったか、細工をしておいて正解だったな…、おいレオ、行くぞ!!」
「うるせぇな、俺を売ろうとしたくせに」
「後で助けるつもりだった、“人狼”の研究も“魔狼”同様、他国に行わせるにはリスクが高いからな」
「ふ〜ん、まぁその言葉信じてやるよ」
マラナとレオがそこを立ち去ると、そこには男の死体が残っていた。

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