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最果ての城
その他リレー小説 - ファンタジー

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最果ての城 4


それからというもの、マラナは常に隣の部屋に神経を張らせていた。何せバッタリ出くわしでもしたら、たまったものじゃない。軍人というのは、体格、雰囲気、そして目つきでわかるものだ。それが優秀な軍人であればあるほど。それに先日の会話から察するに、彼らの内の一人がそれである可能性が高い。もしこんな所で敵国同士の軍人が、出会ったら―。ここは古く人狼の伝説が残る名所だ。互いの目的は明らかに観光ではないとわかる。そして・・・。
(だめだ。今争いを起こしては。くそ・・・先が重いやられるなこれは・・・)
深く溜息をつくと、壁にかけてあるレースを拵えたつばひろ帽子に手を伸ばした。普段の彼女からすれば想像できぬほど女性的なものだ。
「・・・・・・」
―カチャ
部屋を出たマラナは、どこから見ても普通の女性だった。白いワンピースが少し眩しくて、マラナは目を細めた。
「白い服など一体何年ぶりだろうな」
口元を歪め、宿屋の傍にある湖へと急いだ。

数分後、数回男性に呼び止められるもなんとか湖までやって来た
「さて…これからどうするかな」
慣れない格好に疲れ近くの木の下に腰掛けた時だった
「『硝煙』のにおいに『魔狼』のにおい…あんた何者だ」
目の覚めるような蒼い髪の長身の青年が木の上から飛び降りマラナに向かった
「お前は…まさか『魔狼』か?」
マラナがつぶやく
「いや、俺は『人狼』、名前は『レオ』だ。それよりお前…『人間』か?」
「私は――」
と、そこで言葉を切るマラナ。そう簡単にこちらの立場の情報を明かして良いものだろうか。
このレオという青年、味方か、或いは……
「――マラナという。私自身は『人間』だと思うがな」
「随分警戒されちまってるようだな。まぁ、無理もないか。いきなり『人狼』だ、なんて言われて信じろって方が難しいからな」
どうしたものかな、と呟き、青年は頭を掻く。だが、彼がただの『人間』でないことは明らかだった。
『人間』の髪は染めたってこんな色にはならない。
「そういや、最近あんたと似たような『硝煙』の匂いのする男が2人、この辺をうろついてたな。あんたの仲間か?」
レオが冷たい瞳を向けた
「仲間…ではないな。だが目的はほぼ同じだろうな」
レオの瞳に臆することなく言う
「…『魔狼』関係に違いはねぇだろうが…あんたは他の『人間』とは何か違う気がする。訳を話してくれねぇか?こととしだいによっちゃぁ協力するが…」
その言葉に安堵のため息をつく。正直この格好で戦闘になればかなり不利であっただろう
「そうだな…私は…」


「なるほど、『魔狼』の血をね…ふむふむ」
いつの間にか座りこんでいたレオが頷いていた

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