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最果ての城
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最果ての城 20

「この場では無理。本国に戻るか、本国並の設備があればね」
「ミヘザエルでは?出国後すぐに」
「他国のは古すぎてだめ。生命研究にかけてヴァラキアは最先端をいってる。本国まで待てないなら、ヴァラキア軍基地の施設だね」
「そうか。じゃあ次は…」

ハトは軽く頷いた。

「そ。次の遺跡は、ヴァラキア植民国のを選べばちょうどいい」

マラナは少し感動していた。
正直なところ、こう簡単に糸口が見つかるとは思っていなかった。
唯一の足がかりであるチップも信頼性は低く、空振りも長期戦も覚悟の上だったのだ。

ハトは、彼女の感慨など知らぬげにあっさりと話題を変えた。

「で、人狼の方だけど。どうする?」
「レニチケの襲撃を受けたとされるのが数年前……二、三ヶ月前にいた痕跡があるとなると……」
「襲撃の生き残りがこの近くにいる、いた、かも」
「第一隊との合流までまだ余裕がある。街に下りて聞き込みをしてみよう」




街に戻ったマラナ達は、まず小さな飲食店に立ち寄った。店は地元の住民と休憩中の兵士で一杯である。

「いらっしゃいませ!」
「仕事の邪魔しちゃ悪いし、今は只の客になろう」
「そうだな」

しかし開いている席は限られている。これではシェザール兵と相席するしかない。
マラナは気が乗らなかったが、仕方が無い。

「相席いいですか?」
「どうぞ……君達、ミヘザエルからの苔か何かの調査団だろ?」
「地衣類」
「お、もしかしてその子も調査員?」
「こんな子供が?馬鹿かお前ありえねえよ」
「いや、でもあのバッジ……」

興味津々である。
人狼について聞く好機なのだろうが、地衣類の調査団、それも傭兵が聞く事ではない。
マラナは出身は何処か、いつまでここにいるのか等の下らない質問に暫く付き合わさる羽目になった。
だが折角の機会である。このままではいけない。マラナはシェザール兵の一人と議論を始めようとしているハトに目配せした。
その意味に気付き、こほんと小さく咳払いをするハト。

「前述の通り、クル=コバド周辺の地衣類の分布に幾つか通常とは違う点が見つかりました。その理由として考えられる原因の一つに、昔そこに人狼が住んでいた可能性が挙げられるのですが、何でもいいので皆さんの知っている事を聞かせて頂けませんか?」

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