PiPi's World 投稿小説

機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER
その他リレー小説 - 二次創作

の最初へ
 8
 10
の最後へ

機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER 10

第二章『アスラン』

俺がアスラン・ザラの名前を知ったのは、俺が家族を失いプラントへと移住した、少し後の事だった。
当時プラントではまだ戦争の熱気に包まれており、戦いの英雄譚や大戦秘話に少年たちが目を輝かせていた。

プラントと地球軍の開戦当初、世界樹攻防戦やグリマルディ戦線で開発間もない新兵器であるモビルスーツで抜群の戦績を残した『白面の英雄ラウ・ル・クルーゼ』
大海原を縦横無尽に駆け回り、地球軍海軍に恐れられた『紅海の鯱マルコ・モラシム』
敵地へと侵攻するという困難な地球侵攻作戦で、抜群の戦果を残した『砂漠の虎アンドリュー・バルトフェルド』

そしてそんな大戦の英雄の一人が、彼アスラン・ザラだった。
同じく当時英雄と呼ばれていたラウ・ル・クルーゼ率いるクルーゼ隊に所属し、プラントのトップであるパトリック・ザラ最高評議会議長の一人息子という毛並みの良さと、プラントのアイドルだったラクス・クラインの婚約者ということで、元々注目されていたのが、誰一人落とす事が出来なかった地球軍最強のストライクを討った事で、一気に英雄へと躍り出たのだ。

もっとも当時の俺は、家族を失ったショックで、軽い自閉状態に成っており、同世代の子供たちが、戦争の現実を知らずに、ただ目先のカッコ良さに浮かれて、戦争の英雄たちを持て囃す事に内心嫌悪感を持っていた。

だからアスランの事も、どちらかといえば嫌いだった。

次に彼の噂を聞いたのは戦後に成ってからだった。

その噂によればアスラン・ザラは、早期の戦争終結を訴える彼の婚約者であるラクス・クラインを守るため、軍を辞めプラントの最高指導者である父パトリック・ザラと袂を分かち。
平和を訴える同志たちと共に戦争終結の為に戦ったというのだ。

戦後パトリック・ザラなどの強硬派が力を失った代わりに、ラクス・クラインの父シーゲル・クラインの側近だったアイリーン・カナーバなどの穏健派が権力を掌握したことで、彼らは英雄視されるようになり。
特にラクス・クラインと彼女を守るため国を捨てたアスラン・ザラのカップルは(アスランは公式には脱走兵なので、堂々とは言えなかったが)一躍プラント最高のロマンスと噂された。
俺もまた彼に憧れめいた思いを抱いたのは、否定出来ない。

だから初めてアスランと会った時、彼が俺の家族を殺した(当時は八つ当たりと知りながら、そう思っていた)アスハと共に居るのを見て、俺はなんだか裏切られたような気分に成ったんだ。

SNSでこの小説を紹介

二次創作の他のリレー小説

こちらから小説を探す