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機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER
その他リレー小説 - 二次創作

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機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER 7

星明かりの中、目が覚めてくる程に全身の痛みと服の冷たさが思い出したように体を震わし、シンはのろのろと立ち上がっていたので気が付かなかった。
レイも寒さに体を震わし、足首を庇うように立ち上がったことに。
それでもシンを置いていくように数十歩歩くと、くるりと振りかえってシンを待つレイはその時の俺にとってはまだ凄い奴だった。

増水する河から逃れるように、山の方にしばらく歩いて行くと、俺たちは休むのにちょうど良い洞穴を見つけた。
「認識票も装備と一緒に流されてしまったようだからな・・・負傷している事だし、今晩は此処で夜を明かそう・・・」
ザフトの認識票には、緊急用の小型発信機が付けられており。緊急時にはこれを折る事でエマージェンシーコールを発動できる。もっとも手元に無いのでは意味が無いが。
「うん・・・ごめんなレイ・・・俺のミスでレイまで巻き込んじまって・・・ホントならレイは今頃トップで訓練を終えてたのに・・・」
「気にするな、生きてさえいれば、スグに挽回できる・・・お前が無事ならそれでいい・・・」
レイの言葉は何時ものように素っ気無いものだったが、何故か俺には、彼の言葉に心からの労りが入っているのが分かった。
「ああ・・・そうだ!まだお礼言って無かったっけ・・・助けてくれてありがとうレイ!!」
「仲間を助けるのは当然の事だ・・・」
表情一つ動かさないレイの言葉に俺は苦笑する。
ふと俺は何故レイが軍に入ったのか?何故レイはそれほどに頑張れるのか?聞きたいという衝動に駆られた。

「あのさ・・・」
「何だ?」
「レイはどうしてザフトに入隊したんだい?」
「守りたい人が居るからだ」
俺の不躾な質問にレイは即答する。
「家族?」
「いや・・・俺に家族はいない・・・ただ一人の兄は前の戦争で死んでしまった・・・」
レイの答えは俺の心を揺さぶった。
「ご・・・ごめん・・・」
「気にするな・・・」
俺たちの間に気まずい空気が流れる。
「お前は・・」
「え」
「お前は何故ザフトに入ったんだ?」
今度はレイから同じ質問が帰ってきた。
「俺がザフトに入った理由?」
その質問は単純な物だったが、当時の・・・そして今現在の俺にとっても、最も根本的な問いだった。
「・・・守りたかった・・・からかな?」
「守り・・たかった?」
「うん・・・俺の両親と妹・・・前の戦争で死んじゃってさ・・・それで思ったんだ・・・もし俺にあの時力が有れば、家族を助けられたんじゃないかって・・・」
「それでザフトに志願したのか?」
「うん・・・もし何時かまた戦争が起きた時・・・今度こそ大切な物を守れるように・・・」
「そうか・・・」
レイは俺の言葉に少しだけ微笑んだ。俺もまたレイの言葉に心の底から共感していた。
俺たちは外見も性格も正反対というほど違う。(もっとも当時の俺はレイの事を殆ど何も知らなかったのだが)レイの過去も経歴も俺は殆ど知らない。
だけど俺たちは同じような理由で軍人に成るという道を選び、今こうして洞窟で寒さと痛みに耐えながら、胸の内を語り合っている。
それはとても素晴らしい事のように思えた。

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