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機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER
その他リレー小説 - 二次創作

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機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER 6

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
重たい荷物を抱え、真っ暗な山道を雨に打たれながら歩いていると、何時しか疲労から考える事もオックツに成ってくる。
これが昼間で雨が降っていなければ、景色を楽しむ事も出来たのだろうが、この雨のせいで、前を歩いていたレイの姿さえ見えなく成ってしまった。
(マユ・・・父さん・・・母さん・・・)
そのせいだろうか?何時しか俺は、死んだ家族との楽しかった思い出を心に描いていた。
(皆で行ったキャンプ・・・楽しかったな・・・父さんと魚釣って夕食に焼いて食べたっけ・・・マユの奴・・・餌が気持ち悪いって言って・・・一人で携帯弄ってた・・・)
だが、やはりそれが悪かったのだろう。俺は事もあろうに山の中でも、ちょっとした崖に成っている危険な場所で、足を踏み外した。
「え!うわああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
しかも間の悪いことに、崖の下を流れていた小川は、この雨で増水し、俺は水の流れにもみくちゃにされるように溺れ下流へと流されたのだった。
(マユ・・・父さん・・・母さん・・・助けて・・・)



「ひい・・ひい・・・ようやく次のチェックポイントかよ・・・」
「参るよな・・・」
「まあとりあえず一番キツイ所はクリアしたって事だろ?」
「後10キロか・・・」
学生たちが一塊に成りながら山を下りてくる。それを見た教官は、少しだけ笑みを浮かべる。
「よ〜し!よくやった!!お前らがトップグループだな!!」
だが、その言葉に一人の学生が不審を抱いた。
「あの〜レイ・ザ・バレルとシン・アスカはまだ来ていないのですか?」
「ん?そう言えばそうだな・・・前のチェックポイントまでは、レイ・ザ・バレルがトップだったそうだが・・・お前ら途中で追い抜かしたのではないか?」
「いいえ」
「そうか・・・まあルートは一つでは無いし、それ程深い山では無いから大丈夫とは思うが・・・」
彼らが振り返ると其処には、雨のせいか不気味なほど黒々とした山が、無言で聳え立っていた。



(マユ・・・父さん・・・母さん・・・)
濁流に飲まれ意識を失っている間。俺はとても幸福な夢を見ていた。
俺がまだ地球に住んでいた頃。
家族が皆揃い俺にとって戦争がまだテレビの向こうの話だった頃の夢だ。
「・・・ン・・・オイ!!シン!!起きろ!!」
意識が戻った時、俺の目の前にはレイの整った顔が有った。
「ウワアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
其れだけなら良いのだが、何と俺はレイにキスされる寸前だったのだ。
「れ・・・レイ!!お前!!」
「ふう・・・どうやら大丈夫そうだな・・・」
レイは何時ものように無表情にそう言うと、一度だけ安堵の溜息をついた。
「お・・・お、お前っ! なにしようとしてんだよ!」
一方、キスされる寸前だったお陰でテンパった俺は、青くなってレイから距離を取ろうとして、コケた。
河原の泥が跳ねてびしょ濡れの服をさらに汚し、トドメといわんばかりに後頭部を石にぶつける。

ギャグ漫画のワンシーンのような、見事なスッ転げを披露したシンに対し、レイは数秒だけ顔を背けて何かを堪えるように震えると、咳払いをして増水した川を指差した。
「・・・ここもそろそろ危ない、移動するぞ」
彼が指差す通り、雨こそは小降りになっていたが川の水は確実に俺達に近づいて来ていた。

いつの間にか川岸に移動していて、
二人揃ってびしょ濡れで、
気がついたらレイのドアップ。

背嚢や水筒なんかの装備もなくなっている。
おまけに全身は青痣だらけだ。
「いっ痛い!!」
「どおした?」
「ぜ・・・全身が痛くて・・・いったいどうなってるんだ?」
その時の俺は溺れたり、レイにキスされそうになったり(レイが俺を河から引き揚げた時。俺が息をしていなかった為、人工呼吸を行い蘇生させてくれたんだそうだ。ちなみにこの事を後で聞かされた俺は、もちろんレイに心から感謝したが、大切なファーストキスの相手が男だったという事は、思春期の少年にとってかなり悲しい事だった)石に頭をぶつけたりと、次々にいろんな事が起きた為、事態を上手く把握出来ないでいた。

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