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機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER
その他リレー小説 - 二次創作

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機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER 5

「ふうぇ〜やっぱ登りはキツイな〜」
「おいヴィーノおくれてるぞ!!」
「もう随分来たよな?」
「バカ言え!!まだ十キロって所だよ」
「この調子で百キロか・・・死ぬよ絶対」
「俺はモビルスーツのパイロット志願なのに・・・」
学生たちは愚痴を溢しながらも、黙々と足を進める。

「黙らんかヒヨッコ共!!ペチャペチャくっちゃべると余計に疲れるぞ!!」
第一チェックポイントでは、教官がその様子を楽しそうな目で見ている。

いつか絶対殺す

大半の学生達が教官をフルボッコにして憂を晴らしたいという思いをを抱く中、彼らはその場だけ無言になって通り過ぎるのだった。

第2、第3と順番にチェックポイントをこなして歩くうちに、順調だったシン達の足並は重くなり、倒木を乗り越えたヴィーノがうめいた。
「ヨウラン〜、今何キロだ〜?」
「37kmって所だな…」
「うわぁ…、まだ半分もいってないのかよ?」
「ヴィーノ、さっきから同じ事ばっかり言うなよ…きついのはみんな同じなんだからさ」
シンは何度目かもわからない励ましを悪友に送りながら、背の高い若木を避けた。
自然を再現したフィールドならではの過酷さに、最早喋る気力も失せた者もいる中で彼らはよく持っている方だった。
障害物である森を抜け、再び荒野に出た彼らの遥か先を黙々と歩くレイの姿を見つけたヴィーノは嘆息した。
「バレルの奴…バケモンかよ」

黙々と歩く彼の額は汗ばんでいるが、それでもスタスタ、という言葉の似合う歩き方にはシンも感嘆するしかない。
「やっぱり凄いよな…」
「ほらほら、さっさと歩け二人とも、ペース落ちてんぞ」
煽ることなく、珍しく二人を宥めるヨウラン、疲れているので煽らなかっただけかもしれないが…。
「おう」
「ああ」
第五チェックまで行ったら休もう、を合言葉に再び歩きだした彼ら

その真上を疑似太陽がさんさんと照りつけていた…。
地球育ちの上、幼い頃からアウトドア派の父に、散々山登りやキャンプに付き合わされたお蔭か、俺は何時しか学校の仲間たちから離れ、随分と先を歩くように成っていた。
遠足が折り返し地点を過ぎる頃には、俺は周りの奴等から離れ、レイの長い金色の髪だけが、黙々と俺の前を歩いていた。
「はあ・・・はあ・・・さすがにキツイゼ・・・」
だが、本当の試練は此処からだった。
「ん?・・・マジかよ!!」
日が暮れ、丁度俺が夜中の山岳地帯をヒイヒイ言いながら歩いている時。突然雨がポツンポツンと降って来た。
「教官たちめ・・・あいつ等マジでサディストだな」

完全な人工の大地であるスペースコロニーにも、時たま雨は降る。
だが、スペースコロニーに降る雨の時間は、コロニーの気象管理システムが完全にコントロールしており、想定外の降雨は、それこそ気象管理システムが狂いでもしない限りあり得ない。
そして気象管理システムの制御コンピューターは、人工太陽と直結している為、その管理はプラントでも最高レベルである。
つまりこの突然の雨は99パーセント意図的な物なのだ。
「真っ暗な中を雨に濡れながら行軍ってか?勘弁して欲しいよ・・・」
だが、俺の祈りも虚しく、予想通り雨は少しずつ強く成っていった。

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